╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ * 今週のひとこと * ケニヤ 干ばつ被害を終わらせる新しい希望 * ウガンダ 栄養失調を減らすための新しいバナナ品種開発 * イタリア最高裁判所、遺伝子組み換え作物の栽培へ向けて青信号 * アメリカの大豆作付け面積、2010年は過去最高の見通し ▼▽今週のひとこと▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3月10日、EC(欧州委員会)において、新たに遺伝子組み換え作物(GMジャガイモ)の商業栽培が認可されました。これまでEUでは、遺伝子組み換え作物の商業栽培に関して害虫抵抗性トウモロコシ(MON810)が認可されており、今回のGMジャガイモの商業栽培認可は、EUにおいて12年ぶり、2件目の認可となります。これを受け、今春からドイツ、スウェーデン、チェコ、においてGMジャガイモの商業栽培が開始されると予測されています(1)。 ジャガイモは南米原産の作物で、15世紀にヨーロッパ、16世紀末に日本、18世紀に北米大陸へと伝播し、現在では世界中で広く栽培されています。これまでも用途に合わせて生食用、加工用、澱粉採取用など様々な品種改良が行なわれてきました。今回認可されたGMジャガイモ品種は、アミロペクチンという物質の生産力に優れた、澱粉原料を得るのに適したジャガイモ品種です。 南米生まれのジャガイモは原産地から遠く離れたEUにおいて、新しい技術とともに新たな発展の局面を向かえようとしています。 (1) Naturenews (英文) http://www.nature.com/news/2010/100309/full/news.2010.112.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ケニヤ 干ばつ被害を終わらせる新しい希望 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年3月1日/The National New hope to end scourge of drought http://www.thenational.ae/apps/pbcs.dll/article?AID=/20100302/FOREIGN/703019868/1002 <記事要約> 枯草菌(Bacillus subtilis)は、土壌中に生息するバクテリアです。ヒトの肉眼には見えない大きさで、この細菌自体がそれほど魅力的な能力を持っているわけではありません。しかしこのバクテリアは、アフリカの飢饉を終わらせる鍵を握っているかもしれません。 アメリカミズーリ州と南アフリカのヨハネスブルグの科学者たちは、枯草菌が持つ4,100の遺伝子の1つ:cspB遺伝子に注目しています。この特定DNAをトウモロコシに導入することで、何世紀にもわたってアフリカを悩ませてきた被害の大きな干ばつへ、耐性を持たせる事ができると期待されています。遺伝子工学の研究者、バイオテクノロジー企業、慈善活動家やアフリカ政府の政策当局などのコンソーシアムは、この技術を広く利用可能なものにし、アフリカの小規模な農業生産者が利用できる様にするため取り組んでいます。一方で遺伝子組み換え食品の反対論者は、この製品の安全性やバイオテクノロジー企業の参加動機に疑問を示しています。 研究者たちは現在、アフリカ向け水有効利用トウモロコシ(WEMA)プロジェクトと協力して、ケニア、タンザニア、ウガンダ、モザンビーク及び南アフリカにおいて乾燥耐性遺伝子の組み換えトウモロコシ種子を試験しています。 サハラ以南のアフリカでは、住民の半数以上が食糧源としてトウモロコシに依存しています。またアフリカの多くの地域では、主要な作物であるトウモロコシが天候の影響をとても受けやすい状況が続いています。 WEMAプロジェクトを主導しているアフリカ農業技術基金によれば、世界の大規模な干ばつの3/4がアフリカで起こっています。 遺伝子組み換え技術を用いた乾燥耐性トウモロコシは、干ばつの年においては、従来品種に比べて20~35%、言い換えれば2百万トンの収量増をもたらすと期待されています。これは1,400万から2,000万人を養う事が出来る量です。「私たちの意図する事は、干ばつが起こったとしても人々が食べて行ける十分な食糧を得ることにあります。これをアフリカ全域に広げられれば莫大なベネフィットがもたらされる事でしょう」WEMAプロジェクトマネージャーのSylvester Oikeh氏は、この様に述べています。 トウモロコシ種子に乾燥耐性をもたらす遺伝子組み換え技術は、メキシコに本拠を置く国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)と、米国セントルイスに本社がある世界最大の農業バイオテクノロジー企業モンサント・カンパニーによって開発されました。 ビル&メリンダ・ゲイツ財団とハワードGバフェット財団は、乾燥耐性を持たせたトウモロコシ種子が従来の種子と同程度の価格となるように、この乾燥耐性トウモロコシ種子の研究開発プロジェクトに対して資金提供を行なっています。またモンサント・カンパニーにとっては、アフリカの市場が開かれる可能性があります。 「この技術はサハラ以南のアフリカにおいて、特許料を免除した形で小規模農民に提供されることでしょう。ただ、私たちは慈善を施している訳ではありません。小規模農業生産者を単に助けるだけなら、現時点で彼らは顧客とは言えないかもしれませんが、10年後に彼らが顧客になる可能性があります。」モンサントカンパニーのアフリカ部門の広報担当Kinyua M'Mbijjewe氏はこの様に述べています。 WEMAプロジェクトに対して、批判的な人がいないわけではありません。遺伝子組み換え食品は北米の大部分の国で採用されていますが、ヨーロッパの多くでは普及していません。アフリカでは遺伝子組み換え技術はまだ目新しい技術ですが、普及しつつあります。すでに南アフリカでは、害虫抵抗性の遺伝子組み換えトウモロコシが国内で商業栽培されています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ウガンダ 栄養失調を減らすための新しいバナナ品種開発 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年3月2日/AllAfrica New Banana Breed to Reduce Malnutrition http://allafrica.com/stories/printable/201003030137.html <記事要約> ウガンダでは現在、地方でも都市部でも、慢性栄養失調に苦しむ人達たちがいます。しかし2016年までに彼らは、遺伝子組み換え技術を用いて栄養強化されたバナナ2品種-マトケ種とスウィートバナナ種を利用できるようになるでしょう。 「ウガンダ保健省の長年の調査によって、ウガンダの栄養失調を解消するために最も重要な栄養素がビタミンAと鉄である事があきらかになりました。」ウガンダの国立農業研究機関(NARO)の国立バナナ研究プログラムのリーダーWilberforce Tushemereirwe教授は述べています。 ウガンダでは5歳未満児の約73%、妊婦の50%が鉄欠乏症貧血に苦しんでおり、母親の死因の約30%は鉄欠乏症によって占められています。また5歳未満の児童の多くが、栄養失調による発育不全の状態にあります。 最近の人口統計と健康調査によると、長期にわたる栄養失調状態がウガンダ国民を疾病や死に至らしめている事が示されています。 ウガンダ人科学者のGeofrey Arinaitwe 博士は、遺伝子組み換え技術を用いて栄養強化されたバナナ2品種について、以下の様に説明しています。「フェルチンと言う名前の大豆の遺伝子がバナナの細胞に導入され、これによりバナナ果肉への鉄分含有を強化するタンパク質が作られます。また他には黄色トウモロコシや、アスピナと言う東南アジア由来のバナナ品種が持つ遺伝子が導入されました。黄色トウモロコシ、アスピナ種のバナナは共に、人の体内にでビタミンAとなるビタミンA前駆体(カロチノイド)を豊富に含む作物です」 これまでに132の異なる遺伝子組み換えバナナ系統が隔離圃場試験で試験されています。Arinaitwe氏は遺伝子組み換えのバナナについて、ウガンダ人とアフリカのために開発され隔離圃場試験が行なわれた、初めての遺伝子組み換え作物であると説明しています。 ビタミンAの前駆体と鉄分に富んだこの遺伝子組み換え品種のバナナは、農業生産者が利用できる様になる前に食品としての安全性、環境への安全性に関する評価が行なわれる予定です。 ウガンダはインドに次ぐ世界で2番目のバナナ生産国で、毎年1千万トンのバナナを生産しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ イタリア最高裁判所、遺伝子組み換え作物の栽培へ向けて青信号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年2月5日/GMO-Compass イタリア最高裁判所、遺伝子組み換え作物栽培に青信号 Italian court gives GM go-ahead http://www.gmo-compass.org/eng/news/487.docu.html <記事要約> Agra Europe誌(週刊)によると、イタリア最高裁判所は遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの栽培を許可するように、農業省へ指示を出しました。これにより、遺伝子組み換え作物栽培に関する禁止令は撤廃される事となります。イタリア国民は、基本的に遺伝子組み換え技術に懐疑的な見方をしがちなため、今回の裁判所の決定は大きな抗議にもつながりました。 イタリア農業省の大臣であるLuca Zaia氏は今回の決定について、「圧倒的多数の農家は、遺伝子組み換え作物を栽培したいとは思っていない」と言明しています。イタリア農業省は2007年当時には、GM作物と従来作物の共存のためにはまだ満足のいくシステムが確立していないとして、EU域内で栽培が認可された作物であってもイタリア国内での栽培を禁止するとしていました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ アメリカの大豆作付け面積、2010年は過去最高の見通し ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年3月31日/アメリカ農務省プレスリリース U.S. Farmers to Plant Record Soybean Acres in 2010, USDA Reports http://www.nass.usda.gov/Newsroom/2010/03_31_2010.asp <記事要約> アメリカ農務省(USDA-NASS)の報告書によると、2010年のアメリカにおける大豆作付面積は過去最高の7,810万エーカー(約3,125万ha)となる見通しです。 アメリカ農務省は、国内の主要作物の総栽培面積は3億1950万エーカー(約1億2,780万ha)と前年並みであるものの、そのうち大豆作付け面積は2009年の栽培面積から1%増加し、過去最高記録を更新すると見通しています。またトウモロコシの栽培面積は3%増加して8,880万エーカー(約3,550万ha)と予測しています。これは1947年以来、2007年に次ぐ第二位の栽培面積です。 大豆の栽培面積が最も増えたのはカンザス州(40万エーカー)、次いでアイオワ州(30万エーカー)です。イリノイ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州でも10万エーカー以上増加すると予測されています。 トウモロコシの予想作付面積も、多くの州で増加する見通しです。これは収益性の改善を望む農業生産者が冬小麦の作付を減らし、トウモロコシを作付けると予想されるためです。イリノイ州、カンザス州、ミズーリ州、オハイオ州では、トウモロコシ作付面積が30万エーカー以上増加すると予想されています。アイオワ州は1,350万エーカーの作付け予想で、2009年に比べて20万エーカー減少すると予想されるものの、引き続きアメリカで最もトウモロコシを作付する州になります。 ワタの栽培については、2009年に比べて15%増加し1,050万エーカー(420万ha)と予想されています。一方で小麦の栽培面積は9%減少して5,380万エーカー(約2,150万ha)と、1970年以来もっとも少なくなると予想されています。現在、既に作付けされた冬小麦の面積は、去年と比べて13%減少しました。(訳注:現在アメリカの小麦栽培面積が減少している理由としては、品種改良による小麦の生産性向上が大豆やトウモロコシのそれに比べて遅れており、このため収益性の改善を望む農業生産者が小麦から大豆、トウモロコシへ栽培をシフトしている点が指摘されています) ========================================================== 配信希望、中止、変更〈FAXでの送信も可〉、ご意見・ご感想、 発行:日本モンサント株式会社 バイオ作物情報部 |