アメリカ合衆国

米国 多くのアメリカ人が、持続可能な生産が出来るならばGMコムギ製品を受容するとの調査結果
2010年6月3日/FoodNavigator
Survey suggests most Americans would accept 'sustainable' GM wheat
http://www.foodnavigator-usa.com/Financial-Industry/Survey-suggests
-most-Americans-would-accept-sustainable-GM-wheat

<記事要約>
食品技術への考え方を調べる国際食品情報会議(IFIC)の最新の調査によると、もしコムギが持続可能的に生産されるならば、米国の多くの消費者がGMコムギを使用した製品を受容することが示されました。
今回14回目を迎えたIFICの調査は750人の米国の成人を対象にし、最新の食品技術への受容状況を評価する調査を行いました。
GMコムギの商業的利用は少なくとも10年以上先となる可能性が高いものの、今回の調査では「GMコムギの利用が土地、農薬といった投入資源を節約することを可能にし、より多くの人々に食糧を供給するため持続可能な方法で生産されるなら、GMコムギを使用したパン、クラッカー、クッキー、シリアル、あるいはパスタなどの製品を購買する」と答えた回答者が、全体の80パーセントに及んだことを示しています。
また、「農薬の使用削減に役立つなら、GM技術を利用して作られた食品を買う」と答えた回答者は、全体の77%となりました。
IFICは今回の結果から「GMコムギが実際に商業利用が可能な状況となれば、これを用いた製品を受容する支持者がいるだろう」と述べています。
今回の調査では、GM食品が持続可能な農業や食料生産に貢献することを知ると、回答者のGM食品への受容がより上がる事が分かりました。
今回の調査では回答者の半数が「食料生産における持続可能性」についてある程度知っていると回答しました。2008年にはこの割合は41パーセント、2007年には30パーセントでした。
全米コムギ生産者協会、米国コムギ連合会、北米製粉協会および自営製パン業者協会を含む著名な北アメリカのコムギ業界団体は、コムギ産業は競争力の面で問題があると指摘しています。彼らは、コムギと他の農作物(訳注:GM作物が商業的に栽培されている農作物)との間には農家が栽培によって得られる純収益の格差が増大しており、コムギの競争力を改善するためにバイオテクノロジーを用いなければ、今後コムギ生産量は減少し続けるであろうとしています。
米国 オクラホマ大学法学教授「世界は遺伝子組み換えコムギへの投資を必要としている」と発言
2010年4月14日/The GRAINNET
Kansas Wheat: University of Oklahoma Law Professor Says World Needs Investment in Wheat Biotechnology
http://www.grainnet.com/articles/Kansas_Wheat__University_of_Oklahoma
_Law_Professor_Says_World_Needs_Investment_in_Wheat_Biotechnology-92425.html

<記事要約>
2010年にカンザス州で作付けされたコムギ栽培面積は、トウモロコシと大豆の栽培面積を合計した数字よりも少ないと見積もられています。「コムギの栽培州」であるカンザス州にとっては、この数字は憂慮すべき事態です。
オクラホマ大学のDrew Kershen法学教授によれば、世界で最も広く消費される穀物であるコムギがカンザス州の主要作物であり続けるためには研究開発への投資が必要であり、最も重要なことはバイオテクノロジーへの投資です。
Kershen教授は4月9日、カンザス大学キャンパスで開催された「国際貿易と農業のための会議」に集まった人々に向け、開会の演説で「カンザス州と世界の農業」について語りました。
彼の演題「遺伝子組み換えコムギ-その過去、現在、そして挑戦的な未来」の内容は、トウモロコシとダイズに比べ米国のコムギ研究に対する投資額がとても小さいという事実に注目しています。
コムギは世界で、1日当たり摂取カロリーの20%を提供しています。2050年までに90億に増加すると予想されている世界の人口に対し、世界のコムギ生産量も同じペースで増加させなければなりません。しかし耕地面積を増やすことは不可能です。
Kershen教授は「持続可能性の強化」が現在のコムギ生産に必要であると説明します。またコムギ栽培が競争力を失った理由として、1つにはバイオテクノロジーへの投資の欠如、もう1つに才能のある若いコムギ育種家の不足を指摘しています。
Kershen 教授は次のように述べています。「私たちは、コムギ研究に参入したかもしれない多くの若い人々を失いました。彼らはコムギの代わりにバイオテクノロジー研究開発が進む農作物を扱い、素晴らしい仕事をしています」
しかしながら、すべてが失われた訳ではないとKershen教授は説明しています。
オーストラリアでは、バイオテクノロジーを用いて乾燥耐性コムギの研究が行なわれています。また中国では、世界中のどの国よりも多くの研究費が遺伝子組み換え作物の開発に用いられています。また米国企業も着実にバイオテクノロジーを用いたコムギの研究を進めています。バイオテクノロジーを用いたコムギの利点は、無視するにはあまりにも大きいと彼は説明しています。
遺伝子組み換えコムギが農業生産者に採用されれば、従来のコムギに比べて安全で、また環境負荷も低減されるでしょう。世界では遺伝子組み換えコムギに対する抵抗感は薄れつつあります。
Kershen教授は、遺伝子組み換えコムギの欠如はアメリカでも食糧安全保障上の大問題を引き起こすとし、次のように付言しています。
「米国で遺伝子組み換えコムギが採用されない本当のリスクは、コムギがマイナー作物になりロシア、オーストラリア、中国あるいは他の国からコムギを輸入する事態になることです」。
米国 遺伝子組み換え作物は環境負荷を軽減-米国学術研究会議(NRC)の報告に関する記事-
2010年4月14日 The Wall Street Journal
Modified Crops Touted
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702303695604575182112930369020.html
?mod=rss_US_News

<記事要約>
4月13日に米国学術研究評議会(National Research Council:NRC)から発表された報告書では、遺伝子組み換え作物が米国農業生産者の収益を増やすと同時に、農業生産活動がもたらす環境負荷を軽減している事が分かりました。
遺伝子組み換え作物は、花粉の飛散が有機農業に影響すると懸念する環境保護活動家たちの間で議論の的となっています。しかし独立した科学者達が構成するグループである米国学術研究評議会(NRC)において、遺伝子組み換え作物は従来の農作物に比べて環境に与える負荷が少ないと結論付けられました。
NRCの中でもワシントンに拠点を置きアメリカ合衆国政府に科学的助言を与えるグループでは、グリホサートベースの除草剤に耐性を持たせたトウモロコシや大豆(訳注:除草剤耐性作物)が機械による畑の耕起回数の減少を可能にしたとして、これが結果的に農作業の経費削減や土壌浸食の減少も可能にしていると結論付けています。
現在では多くの農業生産者は雑草防除のために畑を耕起する必要がありません。なぜなら遺伝子組み換え作物ならば作物に害を与える事無く、グリホサートベースの除草剤をほ場に散布することができる(訳注:作物に害を起こさずに雑草だけを防除する事ができる)からです。
また土壌微生物から遺伝子を取り出して作物へ導入し、作物内に天然の殺虫剤を作らせるようにした作物(害虫抵抗性作物)によって、益虫も殺してしまう殺虫剤の使用量を減らすことができました。
ネブラスカ大学の生物学者L. LaReesa Wolfenbarger氏は遺伝子組み換え作物について、従来の農作物よりも環境への悪影響は少ないと説明しています。
今回の調査は2008年に着手され、科学者、エコノミストと社会学者ら10名の委員会によって行なわれました。報告書は253ページに及びます。この報告書は除草剤耐性大豆が1996年に上市されて以来、遺伝子組み換え作物がなぜ急速に普及したのかを説明するのに役立ちます:米国で栽培された大豆、トウモロコシ、ワタの約80%が、今では遺伝子組み換え作物から生産されていると同報告書は説明しています。
しかし報告書の執筆者たちは、米国南部で確認されているグリホサートに対する抵抗性を獲得した雑草を例にして、農業生産者が遺伝子組み換え作物をより慎重に用いなかった場合、除草剤耐性作物の有用性が損なわれる可能性も警告しています。
アメリカの大豆作付け面積、2010年は過去最高の見通し
2010年3月31日/アメリカ農務省プレスリリース
U.S. Farmers to Plant Record Soybean Acres in 2010, USDA Reports
http://www.nass.usda.gov/Newsroom/2010/03_31_2010.asp
<記事要約>
アメリカ農務省(USDA-NASS)の報告書によると、2010年のアメリカにおける大豆作付面積は過去最高の7,810万エーカー(約3,125万ha)となる見通しです。
アメリカ農務省は、国内の主要作物の総栽培面積は3億1950万エーカー(約1億2,780万ha)と前年並みであるものの、そのうち大豆作付け面積は2009年の栽培面積から1%増加し、過去最高記録を更新すると見通しています。またトウモロコシの栽培面積は3%増加して8,880万エーカー(約3,550万ha)と予測しています。これは1947年以来、2007年に次ぐ第二位の栽培面積です。
大豆の栽培面積が最も増えたのはカンザス州(40万エーカー)、次いでアイオワ州(30万エーカー)です。イリノイ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州でも10万エーカー以上増加すると予測されています。
トウモロコシの予想作付面積も、多くの州で増加する見通しです。これは収益性の改善を望む農業生産者が冬小麦の作付を減らし、トウモロコシを作付けると予想されるためです。イリノイ州、カンザス州、ミズーリ州、オハイオ州では、トウモロコシ作付面積が30万エーカー以上増加すると予想されています。アイオワ州は1,350万エーカーの作付け予想で、2009年に比べて20万エーカー減少すると予想されるものの、引き続きアメリカで最もトウモロコシを作付する州になります。
ワタの栽培については、2009年に比べて15%増加し1,050万エーカー(420万ha)と予想されています。一方で小麦の栽培面積は9%減少して5,380万エーカー(約2,150万ha)と、1970年以来もっとも少なくなると予想されています。現在、既に作付けされた冬小麦の面積は、去年と比べて13%減少しました。(訳注:現在アメリカの小麦栽培面積が減少している理由としては、品種改良による小麦の生産性向上が大豆やトウモロコシのそれに比べて遅れており、このため収益性の改善を望む農業生産者が小麦から大豆、トウモロコシへ栽培をシフトしている点が指摘されています)
米国 耐寒性遺伝子組み換えユーカリの試験栽培
2010年2月5日/GMO Compass
Biotech eucalyptus doesn't mind the cold
http://www.gmo-compass.org/eng/news/486.docu.html
<記事要約>
米国の科学者が、低温に耐えるユーカリ品種を遺伝子組み換え技術を用いて開発に成功しました。低温耐性のユーカリ品種開発の成功は、より広範囲の面積でのユーカリ栽培と、工業的用途における経済性の向上をもたらす可能性があります。オーストラリアが原産のユーカリは、世界の植林地約2千万ヘクタールにおいて栽培されています。ユーカリは3年半で25メートルの高さに成長し、その細い繊維は、製紙原材料に適しています。また、ユーカリはバイオ燃料の原材料としても利用されます。
ユーカリは霜の被害を受けやすく、寒冷地帯はこれまで栽培が不可能でした。このため北の製紙業者では原材料のユーカリを長距離輸送するか、もしくはユーカリ以外の原材料を利用するしかありませんでした。「緑のバイオテクノロジー」が寒冷地における効率的かつ再生可能な原材料として、ユーカリ栽培を促進する可能性があります。ArborGen社の科学者は、ユーカリが霜に過剰に反応しないよう、耐寒性を持つ植物から遺伝子を導入しました。野外試験では、遺伝子組み換えのユーカリは低温化でその組織が崩壊することなく、マイナス6°Cの低温にも耐えました。現在、ArborGen社は、米国の29カ所において10万本以上の遺伝子組み換えのユーカリの野外試験を計画しています。その試験では遺伝子組み換えユーカリの工芸作物、工業用原料としての特性が調べられ、より速い成長と木質の改善を目的とした研究が行なわれています。ArborGen社の目標は、小さい土地面積からより多くの木を生産する事です。土地を節約しながらの再生可能な原材料を増産する事こそが、限りある資源を救い、持続可能な社会の構築を促進するでしょう。
米国 遺伝子組み換えミントを開発中
2009年1月23日/Capital Press
Biotech mint necessary, researcher says
http://www.capitalpress.com/content/ml-gmo-mint-012210
<記事要約>
ミント業界では昨今、トウモロコシや大豆と同じ様に、遺伝子組み換え作物のミントの栽培開始は時間の問題であると考えられています。ワシントン州立大学の生物学者Rob Croteau氏は、米国のミント生産者が労働力や土地のコストが安い中国、インドといった産地に競合するためには、遺伝子組み換え技術を用いるのが唯一の方法であると述べています。
ミント栽培者協会から資金提供を受けるCroteau氏は、遺伝子組み換え技術を用いて現在の商業品種よりもハッカ油を2倍多く含む「スーパーミント」を開発しました。これに従来の品種を掛け合わせ、もう1つの遺伝子を加えることでさらに25パーセント、ハッカ油の含有量を上げることができるとCroteau氏は考えています。
Croteau氏によると、もしミント生産者が遺伝子組み換え技術によって作られた高油分の品種を求めるならば、1、2年のうちには生産者向けの品種を準備することが可能です。規制上の制約から発売が遅れるかもしれませんが、それでも3〜5年の間に生産者が遺伝子組み換え作物のミントを利用できるようになるとCroteau氏は考えています。
またCroteau氏によると、ミントにバーティシリウム菌類への抵抗性を持たせる事についても、生産者の間で議論がされていあます。バーティシリウム菌類はミント栽培に大きな被害をもたらし、防除がほとんど不可能で、さらに10年間も宿主なしで土壌中に生き残る菌です。バーティシリウム菌類がもたらす病害は、前世紀にミント産業をアメリカ中西部から撤退させ、北西部では栽培面積を減少させました。これまで研究によって、ジャガイモとイチゴでバーティシリウム菌に抵抗性を示す遺伝子が分離されており、Croteau氏はこのバーティシリウム抵抗性をミントに組み込む事が可能と考えています。
オレゴン州精油生産者連盟のTim Butler会長は、遺伝子組み換えミントに対する消費者の反発を、ミント生産者が懸念していると述べました。しかしハッカ油を使う歯ミガキなどの製品が、すでに遺伝子組み換えトウモロコシから生産された甘味料を含んでいるほか、油は遺伝子を含まないことから考えても、遺伝子組み換えハッカ油の摂取に対する懸念は見当違いと指摘しています。
(訳注:アメリカでは約3万haの農地でミント栽培が行なわれ、毎年1億4,000万ドル(日本円で約125億円)の農業粗生産額を産出しています。アメリカは高品質のミント油生産国として知られていますが、最近では新興栽培国(中国、インド)との競合、病気の発生、ミント栽培の収益性低下などから、世界のミント油の需要が増加する一方で、アメリカのミント栽培は低迷しています)
生産業者団体が期待する遺伝子組み換え小麦
2009年11月12日/Farmers Weekly Interactive
Biotech wheat to drive US wheat yield challenge
http://www.fwi.co.uk/Articles/2009/11/12/118742/Biotech-wheat-to
-drive-US-wheat-yield-challenge.htm

<記事要約>
米小麦生産者連盟CEOのDaren Coppock氏は、2018年までに米国の小麦反収を20%増加させる計画において、遺伝子組み換えの小麦が中心的な役割を担うだろうと述べました。
英国作物生産評議会の会議においてDaren Coppock氏は、米国における小麦栽培は大豆やトウモロコシ栽培に比べて利益が相対的に乏しく、小麦の栽培地域がこれらの作物から圧力を受けていると説明しています。一般的に大豆やトウモロコシの栽培が1エーカー当たり250-300ドルの純益をもたらすのに対して、小麦栽培ではこれが100ドルにすぎません。これは、遺伝子組み換え技術を採用しているトウモロコシと大豆の収量が、小麦の収量よりはるかに高いことが原因と述べています。
米国のいくつかの州では小麦の栽培面積が長期的に下落しています。小麦生産州として有名なカンザス州が、今や小麦よりもトウモロコシを多く生産しています。
Daren Coppock氏は、この小麦の生産面積の減少、また仮に小麦の反収が増加しなかった場合に2050年には世界で小麦の生産が毎年380万トン不足する、という可能性へ対処するために、「2018年までに小麦の反収を20%増やす事が私達の目標です」と述べました。その上で、「バイオテクノロジーは唯一の手法ではありませんが、解決手法の一つとなるでしょう。私たちが必要とするものを満たす、あらゆる技術が不可欠であると確信しています」と述べています。
市場の受容が遺伝子組み換え小麦の鍵である事は、彼も認めています。その上で「私たちは製粉業者、穀物貯蔵、輸出業者を含めて国内穀物取引のすべての部門と話をしてきた」と言います。中でも輸出業者の説得が最も難しかったとしながらも、承認された小麦品種に対する混入閾値の国際的なルール設定が達成可能なら、顧客には依然として選択権を与えられると、彼は期待しています。
彼が指摘するには、少なくとも10年の間、小麦には技術が欠けていました。Daren Coppock氏は、「除草剤耐性の小麦以外、あまり多くの研究が行われてきませんでしたし、私たちは除草剤耐性の小麦を、最初の遺伝子組み換え小麦品種として期待していません。干ばつ耐性、あるいは病害抵抗性がより望ましいでしょう」と述べています。
米国 ジャガイモ業界が遺伝子組み換え品種を再検討
2009年10月30日 Capital Press
Spud Industry Reexamines GM Varieties
http://www.agbios.com/main.php?action=ShowNewsItem&id=11098
<記事要約>
米国のジャガイモ業界は、遺伝子組み換えのジャガイモ品種を、国内市場へスムーズに導入するための活動を進めています。全米ジャガイモ評議会の副代表であるJohn Keeling氏は、4〜5社が遺伝子組み換えのジャガイモ品種に取り組んでいると述べています。
新しい遺伝子組み換えジャガイモの品種は、害虫や病気から作物を守るといった農業生産者が受け入れ易い形質と、消費者から見て有益と判断される形質の両方を持つことが期待される、とKeeling氏は述べています。
新しい遺伝子組み換えジャガイモ品種の一例としては、ジャガイモなどデンプン質の食品を高温調理した際に生成され、発ガン性との関連があるとされているアクリルアミドの発生量を減少させるジャガイモ品種があります。
いずれの品種もまだ商業的に開始される状態にはありませんが、ジャガイモ業界は、これに向けて準備が進む事を期待しています。
Keeling氏によると評議会は、遺伝子組み換えのジャガイモ品種を再び市場導入するために、流通などに混乱を生じさせない様に、最善の方法を検討するための特別委員会を今秋に組織する予定であり、「具体的に私達はトウモロコシ、大豆といった他の作物でどの様にしてこれらの問題が解決されてきたかを調べる予定です」と述べています。最初の目標は、米国に導入される(訳注:商業栽培される)遺伝子組み換えジャガイモ品種が、食品加工業者や主要輸出市場において容認される様に取り組むことです。
現在開発中の遺伝子組み換えジャガイモ品種が商業栽培される様になるには、まだ数年かかると考えられます。Keeling氏は、「私たちが知る限りでは、これら新しい遺伝子組み換えジャガイモの品種は、いずれも規制当局の正式許可を得るには至っていませんので、まだ時間がかかるでしょう」と述べています。
2009年6月25日/the Wichita Eagle
Drought-tolerant seed could boost corn crop'
乾燥耐性種子がトウモロコシ収穫量を増大
http://www.kansas.com/business/story/866883.html
<記事要約>
カンザス州立大学の作物生態学者Kraig Roozeboom助教授によると、モンサント・カンパニーが最近開発している第1世代の乾燥耐性トウモロコシ種子を使用することで、カンザス州におけるトウモロコシの単位面積あたり収量を、最高で50パーセント増加させることが分かりました。
「この遺伝子組み換え種子のおもなターゲットは、収量がエーカーあたり130ブッシェルかそれ以下の非潅漑地です」と、セントルイスにあるモンサント・カンパニーのTom Ruff氏(収量、及び新技術担当責任者:Director of Yield & Emerging Technologies)は述べています。
過去10年間、カンザス州におけるトウモロコシの収量は1エーカー当たり115ブッシェルから150ブッシェルで、平均すると130.6ブッシェルです。また昨年単年度の平均収量は、134ブッシェルです。昨年カンザス州で収穫された363万エーカー(約147万ヘクタール)のトウモロコシの、おそよ60パーセントが非潅漑地で生産されていますが、Roozeboom助教授によると、カンザス州は降水量の変動が激しいため、乾燥耐性種子は同州の潅漑農地においても効果を持つ可能性があります。「最近2年間は降雨に恵まれましたが、2007年は非常に乾燥していました」と述べた上で、「乾燥耐性種子はトウモロコシ収量を25~30パーセント引き上げると言われていますが、干ばつがひどい年には、その収量増加率は、50パーセントに達するかもしれません」と彼は説明しています。
モンサント・カンパニーは、ドイツの総合化学品メーカーBASFの研究者と協力してこの種子を開発しています。Ruff氏によれば、この種子開発の初期段階の2003年に、その一部の試験がカンザス州西部で行われました。規制当局の承認を待って、モンサント・カンパニーは、この種子を2012年までに商品化する事を目指しています。
これは乾燥耐性の最初の遺伝子組み換えトウモロコシです。これまでの品種改良では交配育種を用いてきたため、その過程で多くの遺伝子が関わってきました。従来の交配育種は遺伝子組み換え技術の基盤確立のために依然として重要ですが、遺伝子組み換え技術のプロセスは従来の育種法にくらべて正確で、関わる遺伝子の数も1つか2つになります。
モンサント・カンパニーとBASFは、トウモロコシを乾燥ストレス条件下で生育させるのに必要な遺伝子を発見しました。トウモロコシにとって致命的な(訳注:水不足が収量に大きな影響を与える)生育期間は、6月下旬から7月上旬の、雄穂と絹糸が出る受粉期です。
Ruff氏はこの種子がアメリカ全体のトウモロコシ収量を、毎年6~10パーセント増やすと期待しています。1エーカー当たり133ブッシェルであった2000年の収量レベルを、2030年までに2倍にすることが、モンサント・カンパニーにおける種子開発の目標です。なお本年、米国の収量見込みは154ブッシェルです
Ruff氏はモンサント・カンパニーが、第二世代の乾燥耐性トウモロコシに関する研究を行っているとも述べています。モンサント・カンパニーはネブラスカ州Wichikaに作物形質を向上するための農場を持っており、トウモロコシ、大豆に関する野外試験を行っています。
2009年5月21日/Farm Press
GMO rejection ― 'fatal rush to judgment'
遺伝子組み換え作物の拒絶 -「早すぎた判断」
http://deltafarmpress.com/news/brandon-column-0521/
<記事要約>
 遺伝子組み換え作物を巡る昨今の議論において、最も声高に反対を主張してきたのは、おそらくオーガニック(有機)食品産業です。
 2000年に米国で実施されたパブリックコメントでは、National Organic Program(訳注:米国農務省による、有機農作物に関する国家基準を定めたプログラム)に遺伝子組み換え作物が含まれることに反対する、275,000通の意見が寄せられました。
 食の歴史や倫理について幅広く執筆するJames McWilliams氏は「今では科学者の多くと、そして一部の有機農業生産者たちですら、遺伝子組み換え作物に対する当時の拒絶が、早すぎた判断だったと考えています」と述べています。同氏は、「中道的で食に関する議論において理性的な発言をする人物」として知られています。
 テキサス州立大学の準教授で、近く出版予定の「Just Food」の著者でもある同氏は、オンラインマガジン「Slate」に掲載された、「グリーンモンスター ― 遺伝子組み換え食品が環境に良い影響をを与える可能性はあるのか?」と題された記事の中で、「近い将来、90億人に達する世界人口に対して、環境に大きな負担をかけずに食糧を供給する可能性を秘めた領域といえるかもしれません」と述べています。
 McWilliams氏は、牧草で育てられた牛が、フィードロットの牛(訳注:柵や牛舎の中で濃厚飼料を用いて肥育した牛)に代わる、持続可能な肉牛生産法としてもはやされることに言及し、牧草で育てられた牛の「見過ごされている欠点の1つ」として、牧草で育てられた牛がフィードロットの牛に比べて4倍のメタン(二酸化炭素の20倍以上も強力な温室効果ガス)を排出することを指摘しています。これは、牧草にはリグニンが含まれており、リグニンが牛の体内の消化システムを刺激して、メタンを産生する酵素が分泌されるためです。
 一方、オーストラリアのバイテク企業がリグニンの含有量を減らした遺伝子組み換え牧草を開発しており、この牧草を利用すれば牛が排出するメタンの量を減少させ、地球温暖化への影響を抑えられるとし、「これで環境保護主義者たちは、環境への影響を気にせずに牛肉を食べることができます」とMcWilliams氏は言っています。
 また、施肥された肥料成分を、畑の作物が全て吸収できない時、土壌には窒素化合物が蓄積して害を及ぼす事があります。またこれが河川や街路に流出し、藻などの大量発生から酸素不足を起こしては、海洋生物が死滅するデッドゾーン(酸欠海域)を生じさせる事があります。
 そこで同氏は、コメ、コムギ、ジャガイモなどの作物において窒素をより効率良く吸収するよう遺伝子の組み換えを進めている企業がある事を指摘し、「農業に起因する環境汚染の原因として、長い間非難されてきた窒素について、この環境影響を緩和できる作物を農業生産者が栽培できる日が、いつか来るかもしれません」と述べています。
 また「enviropig」と呼ばれるカナダの科学者によって開発された遺伝子組み換えブタをあげて、「ブタは、排泄物中のリン含有量が多いことで有名ですが、このブタは、排泄物中のリン含有量のレベルを60パーセントも減少させる」と説明します。
 さらに、従来より少ない水分で高収量が期待できる遺伝子組み換え作物、土壌から重金属類を除去できる物質を生成する遺伝子組み換えシダ、綿実にゴシポール(訳注:綿実に含まれる有害な化合物)を含まず、新たな高たん白質の食糧源となり得る遺伝子組み換えワタや、その他「生産性を向上するだけでなく、温室効果ガス排出量の削減に有意義な役割を果たす」ための遺伝子組み換え技術が研究されています。
 「残念なのは、持続可能な農業という目標の達成を進める上で、大きな可能性を持つ遺伝子組み換え製品の成功例の数々が、世界中の研究所で日の目を見ることもない状態です。」とMcWilliams氏は述べ、その理由としてこれらの製品への農業生産者たちの需要は高いのに、多くの場合は企業が「遺伝子組み換えに対する激しい反対を恐れているためです。」と付け加えています。
 これらの製品に、農業が環境に与える影響を軽減する可能性がある事を考えると、「持続可能な農業を従来から支持していた人たちが、有用性が高いにも関わらず遺伝子組み換え作物をブラックリストに載せるキャンペーンを率先して推進し、そして成功させてきたのは皮肉なことです」とMcWilliams氏は述べ、「少なくとも遺伝子組み換え作物を、偏見に左右されない公聴会で議論する価値があります。倫理と科学の道理にかなった問題として扱ってみてはどうでしょうか。」と提案しています。
米国・カナダ・オーストラリアの小麦業界団体が、遺伝子組み換え小麦を同時期に
市場投入するにあたって、3カ国で協力するとの共同声明を発表
2009年5月14日/Farm Futures
"U.S., Canada, Australia to Collaborate on Synchronized Biotech Introduction in Wheat"
米国・カナダ・オーストラリアの小麦業界団体が、遺伝子組み換え小麦を同時期に
市場投入するにあたって、3カ国で協力するとの共同声明を発表
http://www.farmfutures.com/ME2/dirmod.asp?sid=CD26BEDECA4A4946A1283CC7786AEB5A&nm=
News&type=news&mod=News&mid=9A02E3B96F2A415ABC72CB5F516B4C10&tier=
3&nid=1BFA8BA49DFF4AAFA2E6353B69B421C9

<記事要約>
2009年5月14日、米国、カナダ、オーストラリアを代表する小麦の業界団体は、遺伝子組み換え小麦系統を同時期に市場投入するにあたり、3カ国で協力していくと発表しました。彼らは遺伝子組み換え小麦に関して、3カ国が協調して導入することが市場の混乱を最小限に抑え、3カ国すべてにとって最大の利益になる、と合意しました。
 現在、遺伝子組み換え小麦の商業栽培は行われていません。小麦の主要な輸出先であるヨーロッパとアジアは特に、遺伝子組換え小麦について慎重な対応を求めてきました。
14日に発表された共同声明では、小麦における単位面積あたりの収量増加の傾向が、他作物と比較して遅い事を指摘した上で、3カ国全ての国で小麦の栽培面積が減少していること、そして食糧供給における小麦の重要性について強調しました。また遺伝子組み換え技術が、小麦生産が直面する農業経営上の問題への唯一の解決法でないことを指摘しながらも、この技術は3カ国の小麦業界が直面する大きな問題を解決するための「重要な要素」になり得ると合意しました。
今回の共同声明に署名したのは、米国は全米小麦生産業者協会、米国小麦連合会および北米製粉協会、カナダはカナダ穀物生産者協会、カナダ西部小麦生産者協会およびアルバータ州冬小麦生産者委員会、オーストラリアはオーストラリア穀物協議会、穀物生産者協会、および西オーストラリア州牧畜業者協会(株)でした。
声明の全文は、http://www.wheatworld.org/biotech もしくは、http://www.uswheat.org/biotechnology で参照できます。
米国 Vilsack農務長官 科学が飢餓の撲滅に貢献すると発言
2009年4月7日/Reuters
US's Vilsack says science can help overcome hunger
米国農務長官は、飢餓の撲滅に科学が貢献し得ると発言
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/N07445141.htm
<記事要約>
カンザスシティーで開催された国際食糧援助会議において、Tom Vilsack米国農務長官は、ますます深刻になっている世界的な食糧危機に対処するため、発展途上国は農業分野における新技術を活用しなければならないとの考えを表しました。
Financial Times によると、G8会合に先立って議長国のイタリアが発表した報告書では、国際的な政治不安のリスクを回避するために2050年までに世界の食糧生産を倍増する必要性が警告されていると伝えられています。Vilsack農務長官は、人口増加や気候変動によって農業生産性の向上は不可欠になっていると述べ、次のように続けました。「食糧を生産できる耕地面積は増えません。むしろ人口増加による住宅地の拡大に伴い、耕作地は減少してしまう可能性があります。私たちは世界の人口を養うため、十分な食糧と十分な栄養を生み出す手段を考え{ほうほう}る必要があります」。
Vilsack農務長官は4月7日、アフリカの65万5,000人の子供たちに食糧を供給するため、4つのプロジェクトに対し8,000万ドル(約80億円)の追加資金援助を行うと発表しました。担当者によると、追加資金は既に12月に割り当てられた9,550万ドル(約95.5億円)に上乗せされ、今期会計年度中に拠出される見通しとなっています。
米国・「ジャック・ダニエル」を製造する蒸留酒製造大手が、ウィスキー製造原料の一部を
遺伝子組み換えトウモロコシに切り替え
2009年3月2日/Sustainable Food News
Jack Daniel's Maker Switches to GM Corn for Whiskey Distilling, Blames
Shortage of Ingredients
ジャック・ダニエルを製造する大手酒造メーカーが、原料確保の困難から、
ウィスキー製造に用いる原料を遺伝子組み換えトウモロコシに切り替え
http://www.soyatech.com/news_story.php?id=12815
<記事要約>
米国で最大のワイン・蒸留酒メーカーのひとつで、ジャック・ダニエルなどを製造販売しているブラウン・フォーマン社(本社ケンタッキー州ルイスビル)が、同社の品質基準を満たす非遺伝子組み換えトウモロコシの不足から、ウィスキーの原料の一部に遺伝子組み換えトウモロコシを使う事にしたと発表しました。
同社は2008年のCSR報告書において、「バーボンなどウィスキー類の製造過程で蒸留された製品には、遺伝子組み換え成分は残存することはないため、遺伝子組み換え穀物を原料に用いることに対する懸念を抱いたことは一切ない」と述べています。
同社は2000年、特に欧州において、非遺伝子組み換え原料の使用を希望する消費者がいたために、ジャック・ダニエル、ウッドフォード・リザーブ、カナディアン・ミストなど同社のウィスキー製品の主原料に非遺伝子組み換えトウモロコシを用いる事にしました。
しかし同社によれば、北米における非遺伝子組み換えトウモロコシの供給が急速に減少しており、バーボンなどウィスキー類の製造に必要な量の非遺伝子組み換えトウモロコシを確保するのはますます困難になっています。
例えば、遺伝子組み換えトウモロコシの割合は2000年には米国産では約25%、カナダ産では46%でしたが、2007年には米国産で80%、カナダ産で84%になっています。
また同社は、「私たちの基準を満たす品質の非遺伝子組み換えトウモロコシを確保する事が難しくなってきたため、2009年の秋からは蒸留酒製造の一部に遺伝子組み換えトウモロコシを使用するという決定に至りました。私たちの工場の大部分では、今後も非遺伝子組み換えトウモロコシを使いますが、非遺伝子組み換えトウモロコシの供給が北米で減少しているため、今後はこの方針を見直すことになるでしょう。原料調達については、一年ごとに決定していきます」と述べました。
米国・農業生産者は遺伝子組み換え小麦を支持
2009年2月26日/Reuters
U.S. wheat farmers want biotech wheat - survey
調査結果‐米国の小麦生産者は遺伝子組み換え小麦を求めています
http://www.reuters.com/article/rbssIndustryMaterialsUtilitiesNews/
idUSN2626246320090226

<記事要約>
全米小麦生産業者連盟(NAWG)が行った調査によれば、米国の多くの小麦生産者は、作物の様々な問題を克服し、他の作物との競争力を維持するために遺伝子組み換えを受け入れる考えを持っています。
またNAWGは、回答を寄せた農業生産者の3/4以上が、遺伝子組み換え小麦の商業化を支持する誓願を承認したと発表しました。
NAWGのCEOである Daren Coppockは、この調査の目的は科学者たちに農業生産者が世界的に物議をかもしている遺伝子組み換え小麦を受け入れる準備ができていることを示すことであり、「これは非常に強い、ポジティブな回答です」と述べています。
NAWGは2009年の1月と2月に、小麦作付けが500エーカー(200ヘクタール)以上及び全ての作物を合わせた作付け面積が1,000エーカー(400ヘクタール)を超える農業生産者約21,000名を対象に郵送によるアンケート調査を実施しました。
 除草剤耐性遺伝子組み換え小麦の開発は5年前に計画されていましたが、市場の反応が否定的であるために中断されています。除草剤耐性小麦に関心を抱く農業生産者はまださほど多くありませんが、高温や低温、干ばつなどの環境ストレスに対して抵抗性があり、反収を増やす可能性がある遺伝子組み換え小麦への要望は強くなっています。
米国・ドナルド・ダンフォース植物科学センターによる遺伝子組み換え耐病性イネの開発
2009年1月10日/ST. LOUIS POST-DISPATCH
Modified rice may resist disease in Southeast Asia
遺伝子組み換えで東南アジアのイネの病害を抑制する可能性
http://www.stltoday.com/stltoday/business/stories.nsf/manufacturingtechnology/story/
E2B6372E511D4FC38625753A000842A9?OpenDocument

<記事要約>
フィリピン、マレーシア、ベトナム、バングラデシュ、インド、タイなどの主要イネ栽培地域では、イネわい化病により毎年収量の約5~10%、金額にして15億ドル相当の損害が発生しています。
 ドナルド・ダンフォース植物科学センターの研究者は20年間にわたりこの解決方法を模索していましたが、最近になって遺伝子組み換え技術によってイネがイネわい化ウイルスの感染に対して耐性のある特定のタンパク質を作り出すことを発見しました。
「ウイルスがどのように植物を病気にするのかを解明したことが突破口となりました。この技術は実験室や温室では既に効果が確認されています」と同センターのRoger N. Beachy会長は述べました。次のステップは野外での試験栽培です。また、同会長は「おそらく5年から10年はかかるでしょうが、目標はフィリピンなど東南アジアの育種家が私たちの品種を使い育種を行うようになることです。中国では遺伝子組み換えイネの試験栽培が進められていますが、現在のところ遺伝子組み換えイネの商業栽培を承認している国はありません」と続けました。
米国・2008年の遺伝子組み換え技術における世界の前進
2008年12月29日/Western Farm Press
Plenty of advancements in agricultural biotechnology worldwide in 2008
2008年世界の遺伝子組み換え技術における多くの前進
http://westernfarmpress.com/news/agricultural-biotechnology-1229/
<記事要約>
米国農務省(USDA)は、春の豪雨と洪水により生育期に遅れが出たにもかかわらず、トウモロコシと大豆は増産になると予測しています。この一因となっているのは1995年に米国に導入されて以来、農業生産の改善に役立ってきた遺伝子組み換え技術です。今年のトウモロコシの生産は、昨年に次いで2番目、大豆の生産は史上4番目に多いと予想されています。
農作物の欠乏によりいくつかの国で騒乱が起こったり、世界各地で食品価格が高騰したりしたため、今年は多くの国において遺伝子組み換え技術がもたらすメリットが認識されるようになりました。
 昨年7月、前英国最高科学顧問David King卿は「必要とされる生産量を増加させる可能性が高い唯一の技術、それは遺伝子組み換え技術です」と述べました。
また10月にはイタリアのMaurizio Sacconi厚生大臣が同国の遺伝子組み換え作物の栽培禁止令撤廃を求めています。
 住民の30パーセントが栄養不良状態にあるサハラ以南のアフリカ諸国では、増収の必要性と水の安定供給困難を解決するために遺伝子組み換え技術を受け入れることを検討しています。
 南アフリカでは消化率や栄養成分が改善され、乾燥した土壌でも栽培できる遺伝子組み換えソルガムの試験栽培が承認されました。
2008年に実施されたいくつかの研究では、遺伝子組み換え技術を用いて作られた食品に対する消費者からの支持が増えていることがわかりました。アジア食品情報センターの調査では、質の高い食品に対する需要の高まりを踏まえ、中国、インド、日本、フィリピン、韓国の消費者が遺伝子組み換えにより生産された食品を受け入れる準備ができていることがわかりました。
 またEuroBio が発表した研究によれば、欧州でも遺伝子組み換え作物を受け入れるという意見が増加しています。
 新しい作物品種の開発も同じく進歩の一つでした。研究者たちは、農作物に損害を与える干ばつなどの気候変動を克服し、今後10年間でトウモロコシと大豆の反収を40%増やすために遺伝子組み換え技術が重要な役割を果たすであろうと述べています。
アジアでは、発展途上国の栄養改善を目的として遺伝子組み換えされたゴールデンライスが2011年を目標に実用化されることが発表されました。
 また遺伝子組み換え技術は、新しいツールや技術への多額な追加投資を必要とせずに反収を増やし、病虫害による収穫の損失を減少させ、農業生産者がその収入の多寡に関わらず利用できる技術の一つです。
 2008年に発表された報告書によれば、遺伝子組み換え作物を栽培している23カ国のうち半分が発展途上国であり、遺伝子組み換え作物を栽培している1,200万人の農業生産者のうち1,100万人は資源の乏しい小規模生産者です。
 また、遺伝子組み換えには環境保全上のメリットがあることが認識されています。特に除草剤耐性作物は土壌保全に貢献しています。より多くの農業生産者が浸食を減らす不耕起栽培法を取り入れることができるからです。
 中国では、遺伝子組み換えイネを試験栽培している農業生産者は殺虫剤の使用を80%近く減少させ、半数以上の農業生産者は殺虫剤を一切使いませんでした。また非組み換えイネを栽培している農業生産者のうち10%以上が殺虫剤中毒の症状を示しましたが、害虫抵抗性イネを栽培した農業生産者にはそのような症状はみられませんでした。
米国・オメガ-3脂肪酸を増やす遺伝子組み換え大豆油
2008年11月6日/Food Product Design
Study: GM Soybean Oil Raises EPA, DHA Levels
研究:遺伝子組み換え大豆油によってEPA、DHAレベルが増加
http://www.foodproductdesign.com/hotnews/gm-soybean-oil-omega3.html
<記事要約>
米国サウスダコタ大学の研究者は、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)レベルを高めるオメガ-3脂肪酸の植物からの供給源として、遺伝子組み換え大豆油のもつ可能性を探っています。この遺伝子組み換え大豆油には、およそ20%のステアリドン酸(SDA)(編註:EPA,DHAの前駆物質)、α-リノレン酸(ALA)(編註:SDAの前駆物質)から変換された多価不飽和脂肪酸が含まれます。
 この研究は、人の食事中のSDAの増加がオメガ-3インデックス(EPAとDHAの量を示す指数)に影響を与えるかどうか究明することを目的に16週間にわたって行われ、その結果は脂質ジャーナル誌(Lipids)に発表されました。http://www.springerlink.com/content/h835221p1p36m153/fulltext.pdf?page=1

21才から70才までの被験者33人が無作為に3つのグループに分けられ、各グループにはそれぞれ普通の大豆油(SBO)、SBOとEPAカプセル、遺伝子組み換えされた大豆油(SDA-SBO)が与えられました。
16週間後にグループ毎のEPAとDHA レベルを測定した結果、EPAカプセルを摂取した群とSDA-SBOを摂取した群でオメガ-3インデックスが増加し、双方には有意差がなかったことが示されました。これに対し、SBOだけを摂取した対照群では、EPAもしくはDHA レベルの増加は示されませんでした。
米国・遺伝子組み換えイースト 「バイオビール」
2008年10月17日/UPI
College students making anti-cancer beer
大学生が抗ガン作用のあるビールを開発
http://www.upi.com/Health_News/2008/10/17/
College_students_making_anti-cancer_beer/UPI-33191224299305/

<記事要約>
米国ライス大学の学生グループが遺伝子組み換え技術を利用して、ブドウなどに含まれる抗酸化物質でガンや心臓疾患のリスクを減らす効果があるとされるレスベラトロールを含む「バイオビール」作りに取り組んでいます。彼らは11月8、9日にマサチューセッツ工科大学で開催される世界最大のコンテストであるInternational Genetically Engineered Machine competition(iGEM)に参加を予定しています。
 昨年のコンテスト終了後、大学院生の一人が冗談で来年はレスベラトロールをビールに入れようと言いましたが、まじめに受け止めたメンバーはいませんでした。しかし今春になってチームが新しいプロジェクトを本格的に探し始めると、レスベラトロール関連の遺伝子でイーストを組み換えるという発表論文がたくさん見つかったのです。さらに調べていくと、個々にメタボリック問題に取り組んでいたチームによって詳細な報告が2つ見つかりました。
そこで学生たちは、ビールを発酵させつつレスベラトロールを生産する遺伝子組み換えイーストを作ることに焦点をあてました。メンバーの学部生はほとんどがまだ未成年なのでビールを買うことはできませんが、学生たちはこのバイオビールが実際に新製品として上市され人々が楽しめるようになるまでには、もう少し時間がかかるため、彼らが成人するころまでは待たなければならないとみています。
米国・遺伝子組み換え動物食品ガイダンス案を公表
2008年9月19日/AP
FDA weighs genetically engineered food
米国食品医薬品局(FDA)が遺伝子組み換え食品を評価中
http://www.denverpost.com/ci_10503078?source=rss
<記事要約>
 2008年9月18日、米国政府は遺伝子組み換え動物を食品として販売する際の規制案の検討を開始すると発表しました。これによって成長の早い魚、狂牛病にかからない牛などが可能になるかもしれません。この規制は遺伝子組み換え動物由来の医薬品や医療用品の材料にも適用される見込みです。
 現在、米国内のスーパーマーケットでは遺伝子組み換え動物由来の肉は販売されていません。しかしボストンにあるアクアバウンティテクノロジー社は、来年には成長が通常よりも早いサケの承認を得て、2011年までに上市することを目指しています。
 消費者団体からの反応は様々です。遺伝子組み換え動物を規制する政府の決定を歓迎しつつ、これから細部にわたり重要事項を決定していかねばならないと注意を喚起しました。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は低コレステロールのステーキ肉など、最終的に製品に影響がない限りは、畜肉、家禽、魚の遺伝子組み換え表示を義務づけていません。
 消費者団体「公益科学センター」のバイオテクノロジープロジェクト長Gregory Jaffe氏は、FDAの動きを「評価すべき第一歩」だと言っています。同氏は「連邦政府が包括的な規制制度を発表し、遺伝子組み換え動物への懸念に対応するのは初めてのことです。しかし環境への懸念全てを網羅しているわけではありません」と述べました。
 FDAは9月18日、法的枠組みの提案を発表し(http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01887.html)、遺伝子組み換え動物を人間が消費しても安全なのか、環境への重大なリスクはないかといった疑問をどのように解決するのかを提示しました。FDA当局者によれば、この規制は食用となる動物、また医薬品製造に使用される動物に焦点を合わせたものです。なお、すでに研究機関の実験で広く使われている遺伝子組み換えマウスについて見直す予定はありません。
遺伝子工学は、高反収や耐病性を持つ作物を産み出すため、農業ですでに広く採用されています。遺伝子組み換え動物はクローンではありません。クローンはある動物の正確なコピーですが、遺伝子組み換え動物は形質の変化をもたらすために遺伝子を操作したもので、この操作はこれまでは交配によって行われていました。
 最もベネフィットを受けると予想されるのは製薬業界です。バイオインダストリー協会(BIO)の動物科学専門家Barbara Glenn氏は、ワクチン、移植臓器、万能細胞など医学的に有用な材料を遺伝子組み換え動物から開発する研究がなされているところだと述べました。天然痘やインフルエンザのような病気のため、遺伝子組み換えウシを使ってヒトの免疫抗体を生産する実験を行っている企業もあります。
米国・Nina V. Fedoroff科学顧問のインタビュー抜粋
2008年8月24日/Indian Express
Excerpts from a conversation with US Science Adviser Nina V. Fedoroff
Nina V. Fedoroff米国科学顧問のインタビュー抜粋
http://www.ellinghuysen.com/news/articles/74041.shtml
<記事要約>
 ―最近コロンビア大学で遺伝子組み換え食品を支持するスピーチをなさったとき、私の近くで『何てことだ、国務省が遺伝子組み換え食品を推奨している。彼女はモンサントの大使に違いない』と言っている人がいました。それに対してどう思いますか?
 Fedoroff:「遺伝子が改変されていない食品はほとんど存在しません。遺伝子組み換えはあらゆる進化の基礎だからです。地球は多くの放射線にさらされており、それが物質を変化させます。放射線によって損傷を受けたDNAは通常修復されますが、突然変異をもたらすこともあり、それが品種改良に利用できる植物を含んだ多様な集団を作ります。20世紀に遺伝子に関する多くの謎が解明された結果、進化を加速させる方法が生み出されました。そこで近代的な植物系統の多くが、品種改良のため化学物質あるいは放射線照射による突然変異によって作られたのです。これが20世紀に行われた植物育種です。現在は他の部分に何ら支障を来すことなく必要な遺伝子1つのみを導入する技術が開発されたのですが、それをひどいことだとと思う人が現れるという矛盾が起きています」
 ―遺伝子組み換え食品に対して、このような激しい反対があるのはどうしてだと思いますか?
 Fedoroff:「これは私どもの成功がもたらした予期せぬ結果だと言えます。食糧増産が大幅に成功したため、ここ数世代の内に農業に携わるアメリカ人は半数近くから2%にまで減少しました。消費者はもはや食品が店先に並ぶまでの過程がどんなものであるかを考えず、自然回帰志向が高まる傾向にあります。しかし全ての人が有機農法に切り替えたら、せいぜい地球の半数程度の人口しかまかなうことができないでしょう」
―環境保護主義者も遺伝子組み換え食品を受け入れるべきであると主張なさっていますが、その論拠は何ですか?
 Fedoroff:「もし増加し続ける世界人口に食糧を供給するため耕地面積を増やそうとするのならば、残された森林を破壊せねばならず、結果として砂漠化を招くことになります。既存の耕地で生産を増やせるのならそれが望ましいのです。ルワンダを訪れたとき、所有する農地が0.4ヘクタール以下の農民を目にしました。もしルワンダの人口が再び倍増したら、より多くの争いが起こるでしょう。 最貧国における対立の多くは、総人口が必要とする資源が極端に不足していることによるものです。果たして私達には、ルワンダのような現状をより効率的な農業へと転換させ、しかもそれを人々の賛同を得られる上手い方法で行うだけの時間は残されているでしょうか?」
インタビュアー:Claudia Draifus(ニューヨークタイムズ)
米国・アイダホ州立大学 遺伝子組み換え乾燥耐性ジャガイモ
2008年8月22日/Capital Pres
Professor seeks drought-tolerant potato
乾燥耐性のあるジャガイモを開発中
http://www.capitalpress.info/main.asp?SectionID=67&SubSectionID=619
&ArticleID=43930&TM=16197.75

<記事要約>
 アイダホ州立大学生物学部へ着任したDring Crowell教授は、前任校であるインディアナポリスのインディアナ大学パーデュー校から継続して、遺伝子工学技術を用いた乾燥耐性のラセット・バーバンク種ジャガイモの開発に取り組んでいます。植物にはアブシジン酸という天然ホルモンが存在し、葉において蒸散作用を行う気孔と呼ばれる微細な穴の開閉機構を制御する働きをしていますが、Crowell教授は、植物のアブシジン酸への反応を高めるよう設計し、植物の保水力を増大する研究をしています。
 教授は「この研究は、人口増加と水資源の減少という観点から農業にとって明らかに意義のあるものです。干ばつの被害はよりひどく、頻繁になりつつあります。ですから最低限の水で植物を生育させられるのならば、それに越したことはないのです」と語っています。何カ月間も水なしで生き残れる植物はあり得ないので、ここで教授が目指しているのは中程度の干ばつ条件下でも栽培に耐えられるジャガイモを開発することです。
 Crowell教授は、ポピュラーな実験植物であるシロイヌナズナを用いてこの研究を開始しました。また乾燥耐性を高めた大豆の開発も手がけています。教授は「私の遺伝子操作はシロイヌナズナでは夢のようにうまくいきました。またカナダの研究者Peter McCourt博士によって遺伝子組み換えされたナタネにおいても同じように成功しています。したがって私はこれらの研究が良い結果をもたらすことを確信しています」と話しています。Crowell教授の研究は全米科学財団から46万5,000ドル(約4850万円)の補助金を受けています。
米国・上院議員から大統領に宛てた「世界スケールの食糧安保:G8サミットのアジェンダ」
2008年7月1日/Hoosier Ag Today
Lugar to President: Prioritize Global Food Crisis at G8 Summit
Lugar氏より大統領へ:G8サミットでは世界的な食糧危機を優先的に扱うべき
http://www.hoosieragtoday.com/wire/news/01104_lugar_173235.php

<記事要約>インディアナ州選出のDick Lugar上院議員は、G8サミットに先立ちGeorge W. Bush米大統領へ書簡を送り、米国と国際社会が現在の世界的な食糧危機に対処するためにとるべき実質的措置を提案しました。
「食糧危機が何年も続くことによって、悪影響を及ぼし続けると思われます。食糧危機が長期間続けば、貧困と衛生状態を改善するための、どのような施策をも無効にする恐れがあります」と、Lugar氏は述べています。
「現在の食料価格の急騰には、複雑な原因が絡み合っています。原油価格の急騰、一部の主要輸出国での干ばつ、そして弱い米ドルなどが原因として出てきました。それらのほかにも従来からあった要因もあります。たとえば、発展途上国での農業生産性の向上や農村部開発への過小投資、発展途上国での食糧需要増、貧困に苦しむ小規模農家の反収を増やすために役立つはずの遺伝子組み換え農作物を非合理に忌避してきたこと、そして貧しい国からの農作物の世界市場への輸出を阻害する貿易システムが挙げられます」とLugar氏は訴えています。
Lugar氏のメモ「世界スケールの食糧安保:G8サミットのアジェンダ」は、国際社会が現在の食糧危機に対処するためにとるべき必要な措置として、さらに、食糧支援システムの再構築、農業生産性向上へのさらなる投資、透明性の高い貿易システム、そして多様な代替エネルギーの推進を挙げています。
米国 コーネル大学・遺伝子組み換えBt作物の益虫への影響
2008年6月3日/Physorg.com
New study shows that transgenic plants don't hurt beneficial bugs
新しい研究が遺伝子組み換え作物が益虫には無害なことを示しています
http://www.physorg.com/news131726113.html

<記事要約>Btたんぱく質を用いた害虫抵抗性遺伝子組み換え作物は害虫の天敵である益虫には無害であることが、米国コーネル大学の昆虫学者たちによる新しい研究によって示されました。
 オンライン科学雑誌PLoS Oneの2008年5月27日号に発表されたこの研究は、世界的なアブラナ科野菜の害虫であるコナガの幼虫に寄生してコナガを殺す益虫の寄生蜂に対し、Bt細菌によるBtたんぱく質やBt作物は有害ではないことを示しました。
 「この寄生性のハチの保護は、害虫の発生を抑止するため、そして害虫がBt抵抗性を獲得する可能性を下げるために重要な課題です。我々の研究はBt作物が害虫発生を抑止すると同時に、益虫を通じた害虫防除にも役立つことを明確に示しています」と、研究者は述べました。
 ヒトに無害なBt細菌は長年、葉に散布されていましたが、1996年からは遺伝子組み換え作物にBt遺伝子が導入され、Btたんぱく質に関してはこれらの二つの使用法が米国環境省により認可されています。2007年にはBtトウモロコシとワタが22カ国で1億400万エーカー栽培されました。
 研究者たちは、Btと従来の殺虫剤の各々に抵抗性のあるコナガの幼虫を育て、寄生蜂を寄生させた後にそれぞれBtと従来の殺虫剤を与えました。その結果、従来の殺虫剤を与えられた殺虫剤抵抗性コナガの幼虫は、寄生蜂が死んでしまったので無事に生育してコナガに成長してしまいました。一方、Btタンパク質を散布した葉や、Bt遺伝子を導入した植物を食したBt抵抗性コナガの幼虫は、寄生蜂によって殺されてしまいした。このように、遺伝子組み換えBt作物が、有益な寄生生物を通じて、Bt抵抗性を獲得した害虫の防除にも役立つことが分かりました。
米国・汚染土壌からのヒ素などの吸収を抑制する遺伝子組み換えイネ
2008年 5月7日/Science Daily
Rice Plants That Resist Uptake Of Arsenic Could Ease Shortage
ヒ素の吸収を抑制するイネがコメ不足を緩和させるかもしれません
http://www.sciencedaily.com/releases/2008/05/080505224659.htm

<記事要約>世界の人口の80%以上がコメを主食としていますが、ヒ素による表土の汚染により、バングラデシュ、インドの一部、東南アジアの水田ではコメの生産量が落ちています。マサチューセッツ大学アムハースト校の研究チームは、特定の遺伝子の活動を増やすことによって、ヒ素や他の有毒な金属の吸収を抑えるイネを作ることにより、コメの安全性を高めると同時に、世界的なコメ不足を緩和させることに取り組んでいます。
バングラデシュなどの国々では、飲料水安全基準を超えるレベルのヒ素を含む地下水が潅漑に使われた結果、有毒レベルのヒ素を含む土壌が増えて、イネを汚染したり栽培面積の縮小をもたらしたりしました。
 植物体に吸収されたヒ素は、コメ粒を含め植物のあらゆる部分に蓄積しそれを食べた人にガンなど健康問題を引き起こします。それと同時に、動物飼料に使われた稲わらを通して家畜の健康にも影響を与え、乳製品と食肉を通じて食物連鎖に入り込みます。既にバングラデシュやインドの西ベンガルでは汚染された水や食品によってヒ素中毒からガンになった人が30万人以上に上っています。
 この技術の実用化のために産学の共同体が働いており、企業は大学が開発した遺伝子資源をコメの系統に導入し、さらに実用に耐えるハイブリッド品種を育成した後に、市場に投入されるでしょう。
米国・農薬の水質汚染 除草剤耐性作物の環境優位性
2008年 4月23日/Science Daily
Herbicide-tolerant Crops Can Improve Water Quality
除草剤耐性作物は水質を改善することができます
http://www.sciencedaily.com/releases/2008/04/080422103853.htm
<記事要約>一般的にトウモロコシと大豆が広範囲に栽培される地域の河川や貯水池では、農業場面で使用された除草剤の残留が、しばしば飲料水基準を超える濃度で検出されます。これらの水域が飲料の水源として使用される場合、この汚染のために処理コストが増加したり、代替の水源を求める必要性が生じます。さらに、これらの除草剤は飲料水基準以下でも濃縮によって水生生態系に悪い影響を与えるかもしれません。
1990年代に遺伝子組み換えの除草剤耐性トウモロコシと大豆が商業利用できるようになり、環境に優しいグリホサートなどの除草剤を使用することが可能になりました。2004年までに米国で栽培される大豆のほぼ90%がグリホサート(ラウンドアップ除草剤)に耐性を持つよう遺伝子組み換え大豆です。
 雑誌「Journal of Environmental Quality」の3-4月号に発表された米国農務省農業研究局の4年間の研究によれば、表流水へ流亡した除草剤の量は、一般の除草剤に比べグリホサート除草剤の方がずっと少ないことが分かりました。
 より多くのトウモロコシと大豆が栽培されるようになっても、除草剤耐性品種を栽培することにより地域の水系への除草剤の流亡を減少させうることを、これらの結果は示しています。
米国・遺伝子組み換えニンジンでカルシウム摂取量増加
2008年1月14日/ScienceDaily
Genetically Modified Carrots Provide Easy To Absorb Calcium
遺伝子組み換えニンジンがカルシウムの吸収を容易にします
http://www.sciencedaily.com/releases/2008/01/080114173903.htm
<記事要約> 米国のテキサスA&M大学とベイラー医科大学の研究者たちが協力して、カルシウムの吸収を容易にした遺伝子組み換えニンジンを開発したと全米科学会紀要(PNAS)に発表しました。
 研究者たちは、カルシウム取り込みに関連する遺伝子を導入したニンジンを作り、成人男女15人ずつの被験者にこのニンジンを食べさせ24時間後に尿検査を行いました。その結果、通常のニンジンを食べた対照群に比べ、男女とも高いカルシウムの吸収速度が示され、ニンジン中の利用可能なカルシウムの量を増やすことができたことが確認されました。これから利用可能なカルシウムの含有量をさらに増加させることをめざしています。
 果物や野菜は健康的な食品ですが、良好なカルシウムの摂取源としてはこれまで認識されていません。この研究は、ニンジン以外の果物や野菜からも必要なカルシウムを摂取できるようにし、骨粗鬆症のような病気の予防に役立てることを目指しています。
米国・カリフォルニア大学・乾燥耐性・遺伝子組み換えタバコ
2007年11月26日/UCDavis
New Drought-tolerant Plants Offer Hope for Warming World
地球温暖化に希望を与える新しい乾燥耐性植物
http://www.news.ucdavis.edu/search/news_detail.lasso?id=8439
<記事要約>カリフォルニア大学デービス校の研究者が主導する国際チームが、70%少ない灌漑水でも成育し、干ばつでも生き残れる遺伝子組み換え植物を開発したと全米科学学会紀要(PNAS)12月4日号に発表しました。
この研究では、水分の欠乏によって起きる落葉を延期させるために、葉を落とす遺伝子が作用しないようモデル植物のタバコを遺伝子組み換えしました。この遺伝子組み換えタバコは非遺伝子組み換えのコントロールと共に、厳しい干ばつ状態を再現するため15日間水分補給を止めた後1週間再給水されました。その結果、非遺伝子組み換えタバコはかれてしまいましたが、遺伝子組み換えタバコは生き残り成育しました。また、この遺伝子組み換えタバコは通常の灌漑水量の30%で生存が可能です。
 この研究者たちは、トマト、コメ、コムギ、ナタネとワタのような農産物でも、同じ結果となることを期待しています。また、実験室内での遺伝子組み換えタバコ栽培を野外での試験栽培段階に進めることを計画しています。
米国・遺伝子組み換えスイートコーン・食品自主表示
2007年11月15日/San Luis Obispo Tribune
Engineered corn proves easy to swallow
食欲をそそる遺伝子組み換えトウモロコシ
http://www.sanluisobispo.com/news/local/story/193603.html
<記事要約> カリフォルニア州サンルイスオビスポ郡にある自家栽培産物販売所Avila Valley Barnでは、5年前から害虫抵抗性の遺伝子組み換えトウモロコシ(スイートコーン)の栽培・販売を始め、2007年9月からは、おそらく米国ではおそらく初めてとなる「遺伝子組み換えである」という表示を自主的につけて販売しています。
 値段は非遺伝子組み換えのトウモロコシと同じですが、その売り上げは予想に反して非遺伝子組み換えのトウモロコシを上回りました。非遺伝子組み換えのトウモロコシは、害虫やその被害の有無を調べるために皮をむかれて販売されますが、害虫被害を抑える遺伝子組み換えトウモロコシは皮をむかずに売ることができます。ほとんどの客は皮がむかれていない遺伝子組み換えトウモロコシのほうが、新鮮そうで好きだと好意的な態度だったのです。この農場では、来年はこの遺伝子組み換えトウモロコシを普通のトウモロコシの倍の面積に作付けるよう計画しています。
 農場の所有者によれば、遺伝子組み換えトウモロコシは殺虫剤とその噴霧のためのトラクターの燃料コストを節約できる経済的メリットと、非遺伝子組み換えトウモロコシでは4日毎に散布する殺虫剤を必要としないために周囲を汚染する心配がなく、トラクターからの温室効果ガスも抑制されることから環境にも優しい選択と言えます。しかも、トウモロコシの穂軸に潜む害虫は殺虫剤の噴霧では完全に駆除できないため、同じ収穫量を上げるために普通のトウモロコシは、遺伝子組み換えトウモロコシより広い土地が必要です。
 サンルイスオビスポ郡は、遺伝子組み換え作物栽培についての論争が続いている地域ですが、遺伝子組み換え作物に関しては「メリットも考慮して議論されるべきだ」と農場主は主張しています。
米国・インド・バングラデシュ・害虫抵抗性ナス・開発進捗状況
2007年11月14日/ANI
Cornell researchers help develop first genetically modified food crop in South Asia
コーネル大学の研究者が南アジアで最初の遺伝子組み換え食用農産物開発に協力
http://www.thaindian.com/newsportal/sci-tech/cornell-researchers-help
-develop-first-genetically-modified-food-crop-in-south-asia_100353.html

<記事要約> 2009年までに害虫抵抗性遺伝子組み換えナスが、南アジアで初めての遺伝子組み換え食用農産物になるかもしれません。このナスはインドのナスの収穫の4割を失わせ、バングラデシュ、フィリピンなどにも被害をもたらす害虫 fruit and shoot borer(FSB)に抵抗性を持つようにするためBt菌由来の殺虫蛋白質を導入したものです。
 インドSathguru社と米国コーネル大学は、米国国際開発庁(USAID)から資金提供され、このプロジェクトに2002年から協力しています。現在までに、魚、ニワトリ、ウサギ、ヤギ、ラットとウシへの試験で、このBtナスにはアレルギー性も毒性もないことが判明しています。試験栽培は、カルナタカにある農業科学大学で行われており、研究者たちは野外でBtナスがどれだけ長くFSBに効果があるのか、Btナスが他のナスと交雑するかどうか、隔離距離はどの程度必要であるかなどを調べています。
 Btナスは、反収を2倍に上げ殺虫剤使用量を3割削減すると期待されており、インドとバングラデシュを併せて2010年に11万エーカー(約4万4,000ヘクタール)、2015年までに65万エーカー(約26万ヘクタール)栽培されるだろうと予想されています。
米国・遺伝子組み換えトウモロコシ・コラーゲン抽出
2007年8月30日/Cosmetics Design Com.
Transgenic corn to provide source of collagen
組み換えトウモロコシがコラーゲンの原料を提供します
http://www.cosmeticsdesign.com/news/ng.asp?n=79352-collagen-gelatin-transgenic
<記事要約> 米国アイオワ州立大学の科学者たちが、コラーゲン生産遺伝子組み換えトウモロコシから効率よくコラーゲンだけを分離することに成功したと、先週ボストンで開催されたアメリカ化学会年次会合において発表しました。
コラーゲン由来の製品であるゼラチンは、外科療法や医薬製薬に広く利用される成分です。
17世紀以来、畜産物由来の副産物が原料とされていますが、成分やサイズが一定しない上、最近はBSE問題から安全な原料の安定的調達が困難となり、コストも上昇しています。
また、動物原料に代わり、コラーゲンの生産をもたらす遺伝子を導入した遺伝子組み換えトウモロコシを原料として利用するためには、トウモロコシ種子からコラーゲンをはじめとするタンパク質の回収と精製が必要ですが、種子中に占めるタンパク質が非常に少量であることから、その回収と精製の過程が、今までネックになっていました。
今回の成功により、動物由来のコラーゲンに代わる、コラーゲン生産遺伝子組み換えトウモロコシからのより安価で安全なコラーゲン生産が一歩前進しました。
この研究では、限外濾過と呼ばれる方法を利用してトウモロコシ種子から、従来のトウモロコシからのコラーゲン抽出法の5倍から10倍も多いコラーゲンを抽出することができます。
米国・害虫抵抗性・トウモロコシ・ワタ・非標的昆虫への影響
2007年6月7日/AFP
Genetically engineered crops may have a role in sustainable agriculture: study
研究結果:遺伝子組み換え作物が持続可能な農業に一役かうかも
http://news.yahoo.com/s/afp/20070607/sc_afp/ ussciencegmo_070607190914
<記事要約> 害虫抵抗性の作物とは、特定の害虫に効果のあるたんぱく質を生産するように遺伝子を導入した遺伝子組み換え作物は、従来の作物と比べると、収量が増えて高収益が約束されるため多くの農家に好まれています。しかし、害虫抵抗性作物が土壌を汚染し、生物多様性リスクがあるかもしれないと主張している人たちもいます。
 米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校などの研究者たちは、害虫抵抗性トウモロコシと害虫抵抗性ワタについて、米国、インド、中国及びオーストラリアにおける42の野外実験の結果を調べました。その結果、殺虫剤を散布する慣行農業に比べて、テントウムシ、ミミズ、ミツバチのような有用昆虫が害虫抵抗性作物の畑により多く存在していることを確認しました。
遺伝子組み換えなどの新しい農業技術については、農業生態系に合わせて用いるべきであるとしています。この研究は2007年6月7日付「サイエンス」誌に発表されました。
米国・ウガンダ・米国国際開発局(USAID)遺伝子組み換えワタ
2007年5月21日 The Monitor
USAID to fund Shs270m pest resistant cotton trials
USAID が害虫抵抗性ワタの試験栽培に16万米ドルを提供
http://www.monitor.co.ug/business/bus05211.php
<記事要約> 米国国際開発局(USAID)はウガンダにおける害虫抵抗性の遺伝子組み換えワタの試験栽培に16万米ドル(約2,000万円)を供与する計画です。このコットンボールワーム(オオタバコガ)に耐性を持つ害虫抵抗性ワタの試験栽培をする予定で、現在、全国バイオセーフティ委員会の承認を待っています。試験栽培の目的は、通常のワタに殺虫剤を散布した場合と害虫抵抗性ワタの比較検証であり、散布回数の低減と殺虫剤コスト削減が害虫抵抗性ワタに期待されています。
 南アフリカ共和国を視察した研究者によれば、南アフリカ共和国では害虫抵抗性遺伝子組み換えワタの他にも、小規模農家の役に立つ除草剤耐性遺伝子組み換えワタや、ボールワームという害虫に抵抗性を持つ遺伝子組み換えワタが試験栽培される見込みです。害虫抵抗性ワタは、南アフリカ共和国、ブラジルとインドなどで商業栽培されています。現在はケニアとブルキナファソで試験栽培中です。USAIDは除草剤耐性遺伝子組み換えワタの試験栽培も実施する予定でいます。
米国・バイオ燃料・エタノール・遺伝子組み換えトウモロコシ
2007年5月16日 MIT Technology Review
Cheaper, Cleaner Ethanol From Biotech Corn
遺伝子組み換えトウモロコシでよりクリーンなエタノールを
http://www.technologyreview.com/Energy/18741/
<記事要約> ミシガン州立大学の研究者らが、葉と茎中のセルロースを分解して糖質に変えられる酵素を生産する遺伝子組み換えトウモロコシの開発に取り組んでいます。このトウモロコシは、エタノールの生産コストを下げ、現在行われているトウモロコシの実からのエタノール生産に対して有効性を高めます。
 セルロースをエタノール生産に用いるためには、まずセルロースを微生物がエタノールを生産する原料として利用できる糖質に変換しなくてはなりません。ところが、セルロースを糖質に変換することは、遺伝子組み換えされた別の微生物から抽出された高価な酵素を必要とするため、トウモロコシの実のデンプン質を糖質に変換するよりもはるかにコストがかかっています。
そこで、研究者らは、セルロースを糖質に変換する酵素を体内に作る遺伝子組み換えトウモロコシを作りました。この結果、微生物によるセルロースの糖質への変換が必要なくなり、1ガロンのエタノール生産につきおよそ30〜50セントのコスト節約が可能になると研究者は説明しています。しかし、トウモロコシが生きているうちにセルロースが分解されてしまっては困ります。そのようなことのないよう、高温の状態(約50℃)になって初めて活性化される、温泉中の微生物から発見された酵素を利用しました。この酵素を用いることによって、トウモロコシの細胞中のセルロースが生育中には分解されないですむのです。
 この遺伝子組み換えトウモロコシは、セルロース系バイオ燃料の商業化を妨げている要因である「低コストの生産技術の欠如」を解消するための有望なアプローチの一つです。この遺伝子組み換えトウモロコシは、より効率的なエタノール生産を可能にします。
米国・バイオエタノール・遺伝子組み換えソルガム
2007年5月2日/AP
Texas A&M Says New Sorghum Has Improved
テキサスA&M大学での新しいソルガムの改良
http://www.forbes.com/feeds/ap/2007/05/02/ap3677281.html
<記事要約> テキサスA&M大学の研究者が、バイオ燃料の原料として、米国の乾燥地帯でもトウモロコシより効率的でかつ経済的な遺伝子組み換えソルガムの開発に挑戦しています。ソルガムはトウモロコシの茎に似ており、世界でも古くから知られている作物ですが、米国では主に家畜の飼料として利用されていました。数年にわたり研究されてきたこの遺伝子組み換えソルガムは、背丈が通常の2倍の10〜15フィート(3〜4.5メートル)以上になり、茎が太く、干ばつにも抵抗性を持たせています。
この遺伝子組み換えソルガムは北部に比べ成長期の長い南部や南東部での栽培に適していることから、トウモロコシよりも気候に適合しており、特に中西部でのエタノール生産のためのバイオ燃料の選択肢として浮上してきました。
 現在、テキサス州やカンザス州を中心として、米国で栽培されるソルガムの15%がエタノール生産用に回っています。テキサスA&M大学の研究者は、今後3年でこの遺伝子組み換えソルガムの商業化が可能になることを期待しています。
米国・トランス脂肪酸・ビスティブ大豆
2007年4月27日/Dayton Daily News
Enhanced soybean reduces trans fat
トランス脂肪酸を削減する品質向上の大豆
http://www.daytondailynews.com/n/content/oh/story/news/local/
<記事要約> 大豆油に含まれるリノレン酸は加工や使用の過程で心臓病を引き起こす原因の1つとなるトランス脂肪酸を生成します。ニューヨーク市のようにトランス脂肪酸を禁止する動きや、20の州で同様の法案提出の動きがあり、大豆生産の現場にも変化が起こりつつあります。たとえば、あるオハイオ州の農家はこの春、ブッシェル当たり60セント(約70円)のプレミアムがつくモンサント・カンパニーの低リノレン酸大豆、ビスティブ大豆を389エーカー(約157ヘクタール)で栽培することにしました。既に米KFC(ケンタッキーフライドチキン)の5,500店舗では、揚げ油を低リノレン酸大豆油(ほとんどがビスティブ大豆による)に切り換え、また、ケロッグ社の子会社もビスティブ大豆油をスナック菓子などに使用しています。
 このように、ビスティブ大豆には大きな需要拡大が見込まれています。ビスティブ大豆の60セントのプレミアムは、エーカー当たり30ドル(約3,500円)の余剰利益を農業生産者に与えることになります。
米国・トウモロコシ・高リシン
2007年4月11日/Omaha World-Herald
Researcher seeks new ways to feed hungry world
世界の飢えのための新しい方法を模索
http://www.omaha.com/index.php?u_page=1208&u_sid=2363093
<記事要約>植物に対する分子生物学と農業バイオテクノロジーへの業績で、1996年に全米科学アカデミー会員に任命されたネブラスカ大学リンカーン校のブライアン・ラーキンス副総長補佐は、30年以上前から取り組んでいるトウモロコシのタンパク質の価値(有用性)を高める研究について、遺伝子組み換え技術を利用してトウモロコシ穀粒に含まれるヒトの必須アミノ酸であるリシンを2倍に高めることに成功し、途上国の栄養問題を解決するためにもこの高リシントウモロコシを大量生産することが今後2〜3年で可能になるであろうと述べました。
 世界の人口は、現在の65億人から2045年までに90億人に成長すると予測されます。農民は、少ない環境負荷で狭い土地から多量の食料を生産する必要があります。国連は現時点でも年間18,000人の子供が飢えで亡くなっていると推測していますが、「一般的に飢餓問題は食料の欠如より栄養不足である」とラーキンス氏は指摘しています。
米国・遺伝子組み換えトマト・葉酸
2007年3月6日/FoodNavigator
GM tomatoes to provide daily folate needs?
葉酸の1日必要量を満たせる遺伝子組み換えトマト?
http://www.foodnavigator-usa.com/news/ng.asp?n=74714-tomatoes-folate-gm
<記事要約>フロリダ大学の研究者が、通常のトマトよりも25倍、緑葉野菜よりも7倍も多い葉酸を含む遺伝子組み換えトマトを開発しました。
妊娠初期の女性の葉酸欠乏は、子供の神経管奇形を引き起こすと言われています。そのため米国やカナダの栄養強化をうたっている全ての穀物製品は、体内で葉酸に変わる合成物質で補強されています。しかし、途上国においてはコストがかかるなど、同様の栄養強化は困難です。
この遺伝子組み換えトマトは、1回の標準的な食事で推奨1日摂取量を満たす量の葉酸を含んでいます。そのため、途上国における葉酸摂取量を増やすため、また、先進国においても食品栄養強化に代わる魅力的な手段となりえるでしょう。
米国・中国・タバコ・遺伝子除去システム・ターミネーター技術
2007年2月16日/SciDev.net
'Gene deleting' tool could lead to safer GM crops
「組み換え遺伝子除去」が環境中での遺伝子組み換え作物をより確実に制御
http://www.scidev.net/gateways/
<記事要約>中国と米国の科学者が、遺伝子組み換え作物から非遺伝子組み換え作物へ交雑により遺伝子が移行してしまうのを妨ぐ、新しい技術を考案したとPlant Biotechnology Journalに発表しました。
 この組み換え遺伝子除去システムの実験では、遺伝子組み換えタバコの種子と花粉から遺伝子組み換えで導入した遺伝子を完全に取り除くことに成功しました。この技術を用いれば、従来作物が遺伝子組み換え作物と交雑しても、交雑種子からは遺伝子組み換え作物に導入した遺伝子が除かれるため、遺伝子組み換え作物の性質が移ることはなく、共存を容易にすることができます。
 同じコンセプトの技術として、次世代の種子自体を発芽不能にしてしまう、いわゆる“ターミネーター技術”が知られていました。しかし、ターミネーター技術と異なり、この技術は次世代種子への導入遺伝子の移行を取り除くだけで種子生産は普通に行われるため、農家の自家採取もできるという利点があります。
米国・農業生産者・遺伝子組み換えを選ぶ理由
2007年1月16日/University of Illinois Extension-The Farm Gate
And Why Is It Again That You Plant Biotech Seed?
あなたが遺伝子組み換え作物を栽培するのはなぜですか?
http://www.farmgate.uiuc.edu/archive/2007/01/and_why_is_it_a.html
<記事要約>イリノイ大学の農業経済学者たちによる試算から、遺伝子組み換え作物がこれほどまで普及した理由の一端を覗くことができます。米国農務省による生産者が農場で働いた時間についてのデータをもとに、農場のサイズなどを考慮に入れて、比較的単純化した効果試算手法であるATE(average treatment effect)モデルを使って、遺伝子組み換え作物の導入によりどれだけ労働時間の軽減ができたのかを試算しています。その結果、特に雑草管理は労働力を必要としますが、除草剤耐性遺伝子組み換え大豆の栽培は雑草管理の労力を減らす効果があり、労働を23%軽減したという試算が出ています。この試算は単純化された試算ですが、これまでメリットが明白に数字として出なかった除草剤耐性大豆をなぜ生産者が使うのかを示す新たな試算として注目されます。
米国・遺伝子組み換えジャガイモ・アイダホ大学・アクリルアミド
2006年12月18日/Food Navigator
New potato variety boasts less acrylamide, better aroma
アクリルアミドを減らし風味も豊かな新しいジャガイモ
http://www.foodnavigator.com/news/ng.asp?n=72857-
potatoes-acrylamide-genetic-modification

<記事要約>デンプン質の食品を加熱すると発生するアクリルアミドは発ガン物質であるとも言われており、2002年にスウェーデンで実施された動物実験で問題点が指摘されています。それ以来、このアクリルアミドに関するデータを蓄積する研究が世界中で行われています。
このほどアイダホ大学の科学者が、フレンチフライに加工した際のアクリルアミドの発生量を3分の1に少なくできる遺伝子組み換えジャガイモを開発しました。用いられた遺伝子組み換えの手法は、他の生物からの遺伝子を導入するのではなく、本来ジャガイモが持つ遺伝子を導入することにより達成されています。
 この遺伝子組み換えジャガイモは、アクリルアミドの発生量を抑制するだけでなく、芳香や栄養面が改善される可能性も示されています。
米国・組み換え作物の恩恵・NCFAP
2006年11月16日/SeedQuest
Quantification of the Impacts on US Agriculture of Biotechnology Derived Crops in 2005 National Center for Food and Agricultural Policy
2005年度、組み換え作物が米国生産者にもたらした恩恵(NCFAP)
http://www.ncfap.org/whatwedo/pdf/2005biotechExecSummary.pdf
<記事要約>米国の民間研究機関である全国食糧農業政策センター(NCFAP)は、米国で組み換え作物が広範囲で栽培され続けているのは、組み換え作物が米国の生産者に卓越した経済と環境のメリットをもたらすとする最近の調査結果を発表しました。2005年に組み換えの大豆、ナタネ、ワタ、トウモロコシを栽培した米国の生産者にとって高い生産性と収益をもたらした一方で、雑草防除や害虫駆除のための農薬使用を劇的に減らすことができました。上記URLより、報告書をお読みいただけます。(英語のみ)
米国・ベニバナ・インシュリン生成
2006年10月10日/THE ASSOCIATED PRESS
Washington farmers raise modified safflower for drug firm
ワシントンの生産者がインシュリンを生成する組み換えベニバナを栽培
http://seattlepi.nwsource.com/local/6420AP_WA_Genetic_Crop.html
<記事要約>米国でインシュリンを生成する遺伝子組み換えベニバナが商業栽培される可能性が出てきました。カナダのバイテク企業が開発したこの組み換えベニバナは、糖尿病に効果のあるインシュリンを植物体の中で効率的に生成できるものとして注目されているもの。微生物を使った従来の生成方法に比べ90%以上コストを削減でき、組み換えベニバナを1〜2万エーカー(4〜8千ヘクタール)栽培すれば世界中のインシュリンの需要を満たすことができるとのこと。現在は試験栽培の段階ですが、開発企業は各種試験を終了し、2010年には商業栽培を開始する見通しです。
米国・トウモロコシ・カビ毒(マイコトキシン)
2006年9月22日/Crop Biotech
Bt Corn - A Solution to Mycotoxin Contamination
害虫抵抗性トウモロコシ-カビ毒(マイコトキシン)を解決
http://www.isb.vt.edu/news/2006/sep06.pdf
<記事要約>トウモロコシの生産や利用の際、カビ毒は大きな問題であり、人や家畜に有害な影響を及ぼすことが知られています。このようなカビ毒のついているトウモロコシは、食品および飼料への利用が認められておらず、家畜生産の効率を下げてしまうため、世界的な規模での経済的損失の原因となります。トウモロコシに傷がつくと、そこからカビ毒を生産するカビが生えやすくなりますが、害虫抵抗性トウモロコシは、アワノメイガの幼虫による食害を少なくすることから、カビ毒の発生を抑制する効果があることを、米国ピッツバーグ大学のフェリシア・ウー氏が「害虫抵抗性トウモロコシによるカビ毒抑制による経済・健康・規制上の潜在的効果」という論文の中で明らかにしました。カビ毒抑制による経済的効果は米国などの先進国で見られ、全作付け面積の3割をBtトウモロコシが占める米国では年間2300万ドル(25億円)相当と推算されています。
米国・USDA・AC21・開発パイプライン
2006年9月21日/Arable Farming
GM: A decade of GM possibilities?
遺伝子組み換え:今後10年間の可能性は?
http://www.checkbiotech.org/root/
<記事要約>AC21と呼ばれるUSDA(米国農務省)の諮問委員会が「農業バイオテクノロジーの機会と挑戦:今後10年間」という報告書を公表しました。
AC21は、オメガ3脂肪酸を強化した大豆など、ヒトの栄養改善やより質の高い家畜飼料を作ることを目的とした農作物、干魃など環境ストレスやまだ標的とされていない害虫と病気に抵抗性を持つ作物などの開発の可能性を述べています。
また、ワクチンや免疫抗体などの医薬品、有用な酵素を作る植物や、バイオ燃料など産業利用のための植物もあるとしています。また、食用もしくは製薬・産業製品の生産のためには遺伝子組み換えの動物も、可能性のある分野としています。
2003年に組織されたAC21は、農民、技術者、学者、食品製造と流通産業からの代表者と、消費者及び環境保護グループからの代表者で構成されています。
報告書(原文)は以下から閲覧できます。
http://www.usda.gov/documents/final_main_report-v6.pdf
米国・バイオエタノール・トウモロコシ
2006年8月30日/Reuters
Bio-crops may be created for biofuels: report
報告書:バイオ燃料のための組み換え作物
http://go.reuters.com/newsArticle
<記事要約>バイオテクノロジーは、再生可能な燃料を作る際に使用される作物のエネルギー生産を増加させるために使われるであろうと、燃料需要の急増に注目したUSDA(米国農務省)諮問委員会が述べました。
急成長している燃料エタノール産業は、今年48億ガロンの生産能力をもち、その原料の大部分はトウモロコシです。連邦法では、2012年までに75億ガロン(284億リットル)の再生可能な燃料を使用する目標が設定されています。
「再生可能な代替燃料の需要増加を満たすために、エネルギーに特化した特徴を持っている農作物が開発されるだろう」と諮問委員会の報告書は述べてまいす。トウモロコシと大豆のような食用作物と草や木のような非食用作物に、エネルギー生産を高める特徴を与えるため、遺伝子組み換え技術が使われるようになるかもしれないとしています。再生可能な代替燃料であるバイオ燃料は環境に優しく、地球温暖化対策になるということで国内外で今非常に注目度の高いエネルギーです。

記事内に記載のURLは、記事を作成した当時のURLです。現時点でこれらへのリンクは必ずしも有効ではありませんことをご了解ください。

pagetop