重要な技術は、特許で保護されるべきか?
2008年5月、カナダのETCグループ(旧RAFI)が発表したレポートは、気候変動問題への対処に役立つと考えられる遺伝子組み換え形質を特許で保護する事を批判しています。また同レポートでは、民間の特許所有者との連携を図る政府機関や非政府組織も同様に批判しています。
同レポートでは、気候変動に起因するストレスから植物を保護する遺伝子組み換え形質の重要性を強調する一方で、そうした製品を農業生産者向けに開発する上で必要となる研究・開発への民間企業の投資や特許による保護に関しては批判をしています(形質とは、乾燥や塩害等の環境ストレスから植物を保護するなど、植物に組み込むことができる特性です)。
モンサント・カンパニーは、バイオテクノロジーが世界の食糧需要を満たすために非常に重要なツールとなりうる、という点においてはETCに同意します。しかし先進国、発展途上国双方の農業生産者に役立つ新たな手法を開発していく上では、特許技術に関わる連携を含め、官民のパートナーシップが重要であると考えています。この点はETCとは異なっています。
農業生産者向け製品を開発・普及していく上で、市場原理を基盤とした取り組みこそが最も持続可能な方法であるという点に、多くの専門家が同意しています。モンサント・カンパニーは1日当り200万ドル(約1.8億円)を超える資金を研究開発に投資しています。そして研究開発を通じ、農業生産者の生計を安定させ、社会のニーズを満たす上で必要なツールを開発しています。気候変動により、世界の農業生産者は今後、新たな課題への対処を迫られることになるでしょう。弊社をはじめとする民間企業は、こうした課題に立ち向かう農業生産者を支援するために大規模な研究開発投資を行なっています。そして、特許による保護があってこそ、民間企業は投資から利益を生み出し、投資を回収する事ができます。そしてその利益を再び研究開発や製品開発に投資することができます。このような回収と投資のサイクルが、農業生産者のニーズに応える製品革新を推進しているのです。
遺伝子組み換え形質を利用している農業生産者の90パーセントが、発展途上国の零細な農業生産者です。彼らは、既存種子の流通経路を通じてこれらの製品を入手し、自らこれを選択し自分の農場で栽培しています(出典:国際アグリバイオ事業団(ISAAA)。モンサント・カンパニーは、お客様であるこうした農業生産者のために、製品革新の取り組みを続けています。
しかし一方で、現在は弊社のお客様ではない農業生産者の方、また従来の種子の流通経路では技術を入手することができない農業生産者にとっても、製品革新が重要であることを弊社は認識しています。このような理由により、モンサント・カンパニーは、自社の基本的価値観のひとつに知識と技術の共有を掲げ、発展途上国の農業生産者を支援しています。こうした支援は官民のパートナーシップを通じて実現しており、それぞれの組織が持つ強みや専門知識を組み合わせることで、ひとつの組織単独では出来ない手法によって、資源が乏しい農業生産者への支援を行なっています。以下にこうした取り組みの具体的事例をいくつか紹介します:
10年以上にもわたってモンサント・カンパニーは、発展途上国向けの作物品種改良を専門に手がける公的研究機関へ、技術と専門知識(及び資金)を提供してきました。モンサント・カンパニーが商品用に開発した遺伝子組み換え形質や手法が無償提供され、ササゲ、キャッサバ、米、サツマイモ、パパイヤなどのほか、商品化を目的とする弊社の研究開発プログラムに含まれていない作物の品種改良に利用されています。
一番最近の例として、モンサント・カンパニーはアフリカ農業技術基金(AATF ; African Agricultural Technology Foundation)主導の官民パートナーシップに参加しています。このプロジェクトは、アフリカの零細な農業生産者に乾燥耐性トウモロコシを提供することを目的としており、世界的にも先駆的な取り組みです。アフリカ向け水有効利用トウモロコシ(WEMA ; Water Efficient Maize for Africa)と呼ばれるこのパートナーシップは、干ばつによって壊滅的な被害に直面しているアフリカの零細な農業生産者を救うため、アフリカの農業生産者、指導者、科学者から高まってきた要請に応え、設立されました。同プロジェクトにはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)とハワード・G・バフェット財団(Howard G. Buffett Foundation)が資金提供しており、国際トウモロコシ・小麦改良センター(CIMMYT ; Centro Internacional de Mejoramiento de Maíz y Trigo)、AATF、そしてモンサント・カンパニーが、それぞれの科学的専門知識を提供してアフリカの零細な農業生産者を支援しています。
モンサント・カンパニーは独自に所有する遺伝資源をはじめ、先進的な育種ツール、BASF社との共同開発によって生まれた乾燥耐性形質など、商品化のための乾燥耐性プログラムから得られたデータや材料を無償で提供しています。AATFに対しては既に弊社からライセンスが供与されており、作物の品種開発と試験に加えて、改良された品種をその後アフリカの種子会社に無償提供することが可能になっています。WEMAの一環として、遺伝子組み換えや従来型育種法による乾燥耐性トウモロコシ品種開発など、先進的な技術の開発が行なわれる予定です。改良された品種はアフリカの複数の種子会社を通じて農業生産者に供給されます。農業生産者は、新品種の採用を選択することも、現在使用している品種を継続して栽培することも選択できます。
WEMAプロジェクトについて、より詳しくは、アフリカ農業技術基金(AATF)のウェブサイト(www.aatf-africa.org)をご覧頂くか、AATFウェブサイト上のWEMAプロジェクトのページを直接ご覧ください。
地球の将来的な食糧需要を満たすためには、連携やパートナーシップが必要です。世界のあらゆる地域や部門から様々な組織が協力することにより、世界の農業生産者、そして結果的には全ての人々に最大の利益をもたらすことができると信じています。
バイオテクノロジーを含む農業技術は、気候変動に関連する課題を含め、農業が直面する様々な課題を解決する手法のひとつです。技術は、農業生産者にあらゆる経済部門からの恩恵をもたらします。そして特許はこうした技術を貧しい人々に届ける上での障壁ではありません。特許は技術革新を促進することで、資源に恵まれない人たちを含む全ての農業生産者に恩恵をもたらすものです。

