国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の報告によると、2009年に遺伝子組み換え作物を商業栽培している国は世界で25カ国でした。このうち5万ヘクタール以上で栽培している栽培大国(メガ栽培国)は、①米国(6,400万ヘクタール)、②ブラジル(2,140万ヘクタール)、③アルゼンチン(2,130万ヘクタール)、④インド(840万ヘクタール)、⑤カナダ(820万ヘクタール)、⑥中国(370万ヘクタール)、⑦パラグアイ(220万ヘクタール)、⑧南アフリカ(210万ヘクタール)、⑨ウルグアイ(80万ヘクタール)、⑩ボリビア(80万ヘクタール)、⑪フィリピン(50万ヘクタール)、⑫オーストラリア(20万ヘクタール)、⑬ブルキナファソ(10万ヘクタール)、⑭スペイン(10万ヘクタール)、⑮メキシコの(10万ヘクタール)の15カ国で、2008年より1カ国増加しました。またブラジルの栽培面積がアルゼンチンを上回り、世界第2位の栽培大国となりました。栽培面積上位8カ国で1億3,000万ヘクタール以上の遺伝子組み換え作物が栽培され、この8カ国で世界の栽培面積の98%を占めています。また上位8カ国のうち6カ国、メガ栽培国15カ国のうち11カ国が開発途上国で、去年に引き続き発展途上国での普及が目立ちます。日本では2009年から「青いバラ」の商業栽培が開始され、同報告書もこの事が紹介されています(ただしバラは食用、飼料用、繊維用作物ではないため、同報告書が作成する遺伝子組み換え作物栽培国のリストには日本は含まれていません)。
栽培国の栽培面積の拡大率を見ると、2008年に遺伝子組み換え作物(Btワタ)の栽培を開始したブルキナファソにおいて、2009年は前年比1,353%という前例のない拡大を示したほか、南アフリカ(前年比117%)、エジプト(同115%)などアフリカ諸国での栽培面積増加が目立ちます。またブラジル(前年比135%)やインド(111%)といった遺伝子組み換え作物栽培大国での栽培も増加しています。
今回の報告書では、2009年に起きた注目すべき話題として、中国が国内で独自に開発、その権利を保有する害虫抵抗性(Bt)イネと高フィターゼトウモロコシについて、バイオセーフティ証明書が発行された事を大きく取り上げています。バイオセーフティ証明書の発行によりこれら新しい作物の品種登録が可能になることから、2〜3年後にはこれらの遺伝子組み換え作物が商業化できるようになると報告しています。イネは世界中で最も重要な作物のひとつであり、中国国内だけで1億1,000万世帯(推定で4億4,000万人)、アジア全体で2億5,000万世帯(推定10億人)のイネ生産者によって栽培されています。彼らがこのイネを利用する事で、農薬使用量の減少といった直接的利益が期待されます。また食肉需要が増加する中国では、高フィターゼトウモロコシを用いる事で家畜(主に豚)のリン吸収率が向上し、排泄物中のリン含有量が減少する事で、環境負荷の低い畜産が可能になると期待されています。

| 順位 | 国名 | 栽培面積 (ha) | 栽培の傾向 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 64.0 | 大豆、トウモロコシ、ワタ、ナタネ、カボチャ、パパイヤ、アルファルファ、テンサイ |
|
| ブラジル | 21.4 | 大豆、トウモロコシ、ワタ |
|
| アルゼンチン | 21.3 | 大豆、トウモロコシ、ワタ | |
| インド | 8.4 | ワタ |
|
| カナダ | 8.2 | ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ |
|
| 中国 | 3.7 | ワタ、トマト、ポプラ、ペチュニア、パパイヤ、ピーマン |
|
| パラグアイ | 2.2 | 大豆 |
|
| 南アフリカ | 2.1 | トウモロコシ、大豆、ワタ |
|
| ウルグアイ | 0.8 | 大豆、トウモロコシ |
|
| ボリビア | 0.8 | 大豆 | |
| フィリピン | 0.5 | トウモロコシ | |
| オーストラリア | 0.2 | ワタ、ナタネ | |
| ブルキナファソ | 0.1 | ワタ |
|
| スペイン | 0.1 | トウモロコシ |
|
| メキシコ | 0.1 | ワタ、大豆 | |
| チリ | < 0.1 | トウモロコシ、大豆、ナタネ | |
| コロンビア | < 0.1 | ワタ | |
| ホンジュラス | < 0.1 | トウモロコシ | |
| チェコ共和国 | < 0.1 | トウモロコシ | |
| ポルトガル | < 0.1 | トウモロコシ |
|
| ルーマニア | < 0.1 | トウモロコシ | |
| ポーランド | < 0.1 | トウモロコシ | |
| コスタリカ | < 0.1 | ワタ、大豆 | |
| エジプト | < 0.1 | トウモロコシ | |
| スロヴァキア | < 0.1 | トウモロコシ |
〜
遺伝子組換え作物の栽培面積が5万ヘクタールを超える15カ国。
| 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 米国 | 150 | 810 | 2050 | 2870 | 3030 | 3570 | 3900 | 4280 | 4760 | 4980 | 5460 | 5770 | 6250 | 6400 |
| アルゼンチン | 10 | 140 | 430 | 670 | 1000 | 1180 | 1350 | 1390 | 1620 | 1710 | 1800 | 1910 | 2100 | 2130 |
| カナダ | 10 | 130 | 280 | 400 | 300 | 320 | 350 | 440 | 540 | 580 | 610 | 700 | 760 | 820 |
| ブラジル | - | - | - | - | - | - | - | 300 | 500 | 940 | 1150 | 1500 | 1580 | 2140 |
| 中国 | - | - | - | 30 | 50 | 150 | 210 | 280 | 370 | 330 | 350 | 380 | 380 | 370 |
| インド | - | - | - | - | - | - | 10 | 10 | 50 | 130 | 380 | 620 | 760 | 840 |
| パラグアイ | - | - | - | - | - | - | - | - | 120 | 180 | 200 | 260 | 270 | 220 |
| 南アフリカ | - | - | 10 | 10 | 20 | 20 | 30 | 40 | 50 | 50 | 140 | 180 | 180 | 210 |
| その他(フィリピン、ウルグアイ、オーストラリア他) | - | 20 | 10 | 20 | 50 | 50 | 30 | 30 | 90 | 100 | 110 | 210 | 220 | 270 |
単位:万ha

| 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 先進国 | 160 | 950 | 2340 | 3280 | 3350 | 3910 | 4270 | 4730 | 5340 | 5970 | 6110 | 6490 | 7050 | 7240 |
| 途上国 | 120 | 150 | 440 | 710 | 1070 | 1350 | 1600 | 2040 | 2760 | 3030 | 4090 | 4940 | 5450 | 6160 |
単位:万ha
出典:ISAAA(国際アグリバイオ事業団)
Grobal Status of Commercialized Transgenic Crops